質問主意書

第155回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二号

自衛隊員とジュネーブ条約上の捕虜との関係に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十四年十月三十一日

櫻井 充   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   自衛隊員とジュネーブ条約上の捕虜との関係に関する質問主意書

 自衛隊は国内法においては軍隊でないとされている一方、国際法においては軍隊としてみなされている。これは自衛隊の立場を場所によって使い分けており、二枚舌であると言わざるを得ない。自衛隊が軍隊であるかどうかという議論は今まで国会でも盛んに行われてきたが、政府の見解は定まらず、明確に整理された形での答弁は見られない。ところが、政府は、戦場における捕虜の保護について規定したジュネーブ条約を締結してしまったので、自衛隊の法的位置付けが一層不明確になってしまっている。
 そこで、以下質問する。

一 政府は国際条約を締結するとき日本国憲法を遵守するか。

二 我が国の法体系において、憲法、国際法及び国内法のどれが上位に位置するのか。

三 ジュネーブ条約では自衛隊は軍隊として認識されているが、憲法では自衛隊が軍隊であると位置付けられていない以上、自衛隊を軍隊として扱うジュネーブ条約を日本が締結することは許されるのか。

四 現在テロ特措法に基づきインド洋地域に派遣されている自衛隊が、攻撃を受けて自衛権に基づき交戦に至り、その結果自衛隊員が捕虜になった場合、ジュネーブ条約上の捕虜とされるのか。

五 また、インド洋地域に派遣されている自衛隊が攻撃を受け、交戦を避けて退却したが、その過程で自衛隊員が捕らえられた場合、ジュネーブ条約上の捕虜とされるのか。

六 PKOに派遣されている自衛隊が、攻撃を受けたり、テロに遭遇して、その隊員が捕らえられた場合、ジュネーブ条約上の捕虜とされるのか。交戦に至った場合と、至らない場合に分けて答えられたい。

七 四、五、六で捕らえられた自衛隊員がジュネーブ条約上の捕虜とされるのであれば、自衛隊は軍隊であるということになるので、そのことは憲法に抵触するのではないか。また、同条約上の捕虜とならないのであれば、捕らえられた者が拷問等を受けた場合でも、政府は抗議をしないのか。

八 自衛隊員がジュネーブ条約上の捕虜となった場合、政府は自衛隊を軍隊と称するのか、軍隊とは違う特殊なものとするのか、あるいは軍隊ではないと抗議を行うのか。

  右質問する。