質問主意書

第154回国会(常会)

答弁書


答弁書第三五号

内閣参質一五四第三五号
  平成十四年八月二日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員齋藤勁君提出固定資産税の安定確保に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員齋藤勁君提出固定資産税の安定確保に関する質問に対する答弁書

一について

 固定資産税の税額は、本来、市町村長(特別区においては都知事)が決定した価格(以下「評価額」という。)を課税標準額とし、これに条例で定める税率を乗じて算出するところ、土地に対して課する固定資産税については、従来から、税負担の緩和措置(以下「負担調整措置」という。)が講じられている。
 お尋ねの現行制度による商業地等の宅地に係る固定資産税の課税の仕組みについて申し上げれば、平成十二年度から平成十四年度までの各年度分の商業地等の宅地に係る固定資産税の負担調整措置は、負担水準(土地に係る固定資産税に係る前年度課税標準額を、当該土地に係る当該年度分の固定資産税の評価額で除して得た数値)に応じて、負担水準が相当高い土地は当該年度分の固定資産税の課税標準となるべき額(以下「当該年度課税標準額」という。)を前年度課税標準額より引き下げ、負担水準がある程度高い土地は当該年度課税標準額を前年度課税標準額と同額に据え置き、負担水準が低い土地は当該年度課税標準額を前年度課税標準額より緩やかに引き上げることにより、負担水準を均衡化させることとなっており、また、大幅な地価の下落による納税者の税負担に対する感情に配慮し、課税標準額を引き上げることとなる土地であっても、その価格下落率(土地に係る当該年度分の固定資産税の評価額を、当該土地に係る平成九年度分の固定資産税の評価額で除して得た数値を一から減じて得た数値)が一定以上であって、かつ、負担水準が一定以上のものについては、課税標準額を据え置くこととなっている。
 具体的には、別表一の上欄に掲げる負担水準及び価格下落率の区分に応じ、同表の中欄に掲げる額が当該年度課税標準額となり、その結果、課税標準額が前年度と比較して同表の下欄に掲げるとおり引き下げ、据え置き、又は引き上げられることとなる。
 なお、この仕組みを図示すれば、別紙のとおりとなる。

二について

 お尋ねは、商業地等の宅地のうち、一についてでお答えした課税の仕組みにより、課税標準額が引き下げられるもの、据え置かれるもの、引き上げられるものの割合がどうなっているかというものであると考えるところ、平成十三年度においては、別表二のとおりである。

三について

 土地に対して課する平成十五年度以降の各年度分の固定資産税の負担調整措置について、商業地等の宅地に係る負担水準の上限(平成十四年度においては七十パーセント)を更に引き下げるべきであるとする意見があることは承知している。
 土地に対して課する固定資産税は、地価下落等の影響を受け、平成十二年度においては平成十一年度と比較して約五百二十億円の減収となっており、平成十三年度及び平成十四年度においても更に減収が生ずる見込みである。また、商業地等の宅地に係る負担水準の上限は、平成十一年度以前は八十パーセントであったが、平成十二年度及び平成十三年度には七十五パーセントに、平成十四年度には七十パーセントに引き下げられてきており、地価下落に加え、こうした措置の影響により、二についてでお答えしたとおり、大都市においては課税標準額の引下げ措置の適用を受ける商業地等の宅地の割合は、平成十三年度において課税標準額の合計額で見た場合四十二パーセントとなっているところである。
 現在の市町村財政が大変厳しい状況となっていることにかんがみれば、基礎的な行政サービスを提供している市町村の基幹税目である固定資産税についても、その安定的確保が不可欠と考えるところ、仮に今後負担水準の上限を維持したとしても、地価下落により更に税収が落ち込むことが見込まれており、こうした中で負担水準の上限を更に引き下げることは、今後の市町村の財政運営に甚大な悪影響をもたらすこととなるのではないかと危惧している。
 政府としては、土地に対して課する平成十五年度以降の各年度分の固定資産税の負担調整措置について、右で述べたような市町村の財政運営に与える影響を勘案しつつ、同年度の評価額の見込みや負担水準の状況などを踏まえ、その内容を検討してまいりたい。

別表一 1/2

別表一 2/2

別表二

別紙