質問主意書

第154回国会(常会)

答弁書


答弁書第一八号

内閣参質一五四第一八号
  平成十四年四月二十六日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員中村敦夫君提出小田急小田原線連続立体交差事業・事業認可取消判決に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中村敦夫君提出小田急小田原線連続立体交差事業・事業認可取消判決に関する質問に対する答弁書

一について

 小田急小田原線喜多見駅付近から梅ヶ丘駅付近までの区間(以下「本件区間」という。)の連続立体交差事業(以下「本件事業」という。)に係る都市計画事業認可(以下「本件事業認可」という。)については、適法に行われたものと考えている。
 なお、平成十三年十月三日の本件事業認可の取消訴訟の東京地方裁判所判決(以下「本件判決」という。)については、次に掲げる国の主な主張が認められていないことから、同月十二日に東京高等裁判所に控訴したところである。
1 都市計画決定された都市高速鉄道第九号線の区域のうち本件区間に係る部分(以下「本件区間部分」という。)は本件事業の区域及び複々線化事業の区域から成るから、本件事業認可に係る事業地が本件区間部分と一致しないのは当然であり、これが都市計画法(昭和四十三年法律第百号)に違反するものではないこと。
2 本件事業の実施に先立って行われた東京都の平成四年当時の環境影響評価条例に基づく環境影響評価(以下「本件環境影響評価」という。)では、本件事業の実施による環境面での影響は少ないと評価されたこと。
3 本件事業に係る施設の構造を高架式とすることは、地下式の構造とすることに比べ、事業費等において優れていること。

二について

 本件環境影響評価では、本件事業の実施による環境面での影響は少ないと評価されたと承知している。
 また、東京都においては、本件事業の実施に当たり、防音壁の設置等の対策を講じており、これにより騒音の低減が図られると承知している。

三について

 一についてで述べたとおり、本件事業認可については適法に行われたものと考えており、本件判決については国の主張が認められていないことから控訴したところである。したがって、工事を中止することは適当でなく、本件事業を見直す必要もないと考えている。

四について

 本件判決は本件事業の実施の中止を命ずるものではなく、また、東京都及び小田急電鉄株式会社(以下「小田急電鉄」という。)によれば、深夜の工事の実施については、あらかじめ周辺住民に対し周知しているとのことであるから、東京都及び小田急電鉄が公共事業の施行者として問題があるとは考えていない。
 なお、本件事業は、鉄道の混雑緩和、踏切による道路交通渋滞の解消及び地域分断の解消を図る緊急性の高い事業であり、また、多くの沿線住民や利用客から一日も早い完成が望まれている事業であるから、その工事を中止することは適当でないと考えている。
 また、一般的に、連続立体交差事業の実施に当たっては、線路内及びその付近で工事を行う必要があり、電車の運行しない深夜の工事は避けられないものである。

五について

 一についてで述べたとおり、本件判決については、国の主張が認められていないことから、平成十三年十月十二日に東京高等裁判所に控訴したところであり、控訴権の濫用とは考えていない。
 また、本件事業は、四についてで述べたとおり、緊急性の高い事業であり、かつ、一日も早い完成が望まれている事業であるから、その工事を中止することは適当でないと考えている。
 なお、国土交通省においては、東京都及び小田急電鉄に対して、本件事業の推進について関係住民の理解を得るために必要な努力を引き続き講ずるよう要請しているところである。