質問主意書

第154回国会(常会)

質問主意書


質問第三一号

増大し続ける医療費に係る国庫負担金の財源に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十四年七月十一日

山本 孝史   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   増大し続ける医療費に係る国庫負担金の財源に関する質問主意書

 小泉総理や坂口厚生労働大臣は、医療保険の安定的な運営によって、国民皆保険体制を維持すると度々表明している。医療保険医療費に対しては、定率の国庫負担金の支出が義務付けられているが、一方で国家財政は極めて厳しい状況にある。増大し続ける医療費に要する国庫負担金について、その財源は何か。財源確保の目途はあるのか。政府は所要の見込額とその財源を国民に明らかにすべきである。
 よって、以下質問する。
 なお、「内閣は、質問主意書を受け取つた日から七日以内に答弁をしなければならない」と定めた国会法第七十五条第二項の規定を踏まえ、速やかに回答されたい。

一 厚生労働省が作成し参議院厚生労働委員会に提出した資料、並びにこれまでの国会質疑において、政府は、医療費に係る公費負担金は、平成十四年度は七・九兆円、平成十九年度は一〇・二兆円であり、そのうちの国庫負担金は、平成十四年度は六・四兆円、平成十九年度は八・二兆円としているが、この説明は正しいか。
 また、この説明が正しいとすると、平成十九年度の国庫負担金は対十四年度比で一・八兆円の増であることが分かるが、平成十五年度から十八年度までの各年度における国庫負担金は対十四年度比で幾ら増額すると見込んでいるのか。さらに、平成十五年度から十九年度までの国庫負担金増額の累計は幾らと見込んでいるのか。

二 平成十四年七月九日の参議院厚生労働委員会における私の質問に対して、坂口厚生労働大臣は、平成十四年度から十九年度にかけて増大する国庫負担金については「財務省も了解済みの話」と答弁したが、この認識は政府全体で共有されているのか。

三 財務省が作成した「平成十四年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」(平成十四年二月)によれば、平成十四年度の税収は四六・八兆円であり、平成十七年度の税収は、名目経済成長率が〇・五%の場合に四六・一兆円、名目経済成長率が十五年度は一・二五%、十六年度以降二・五%の場合、四八・五兆円と試算されている。
 先の坂口答弁が正しいのであれば、このような厳しい財政状況の中で、政府はいかなる手立てによって、平成十九年度までの医療費に係る国庫負担金の増額に要する財源を確保する考えか。
 また、この国庫負担金の増額分は、毎年度の概算要求基準等における社会保障関係費や省庁別予算の枠の外にあると理解してよいか。そうでないとすれば、厚生労働省は今後、どのように対処するつもりか。

四 医療保険制度を所管する厚生労働大臣が、国会において、財源の当てもなく、制度上国庫負担金が増えていくことになっていると答弁しているのであれば、内閣としては極めて無責任な事態であると言わざるを得ない。
 小泉総理は「増税はしない」と発言しているが、そうであるならば、内閣として、他の国庫支出を大幅に削減するほかないであろう。小泉内閣は、社会保障関係費以外の支出について、大ナタを振るう決意であると理解してよいか。それとも、総理の公約を破棄して、増税を含めた税制改革の中で対処するつもりなのか。
 小泉内閣は、超高齢社会における社会保障財源をどのように確保しようとしているのか、その基本方針を、政府の統一見解として明らかにされたい。

  右質問する。