質問主意書

第154回国会(常会)

質問主意書


質問第二九号

公立学校施設の耐震性の確保及び公立学校の増改築、トイレの改造に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十四年六月二十六日

井上 美代   
大沢 辰美   
富樫 練三   
西山 登紀子   
畑野 君枝   
八田 ひろ子   
林 紀子   
宮本 岳志   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   公立学校施設の耐震性の確保及び公立学校の増改築、トイレの改造に関する質問主意書

 公立学校施設は、子どもが安全で健康的に生活できる場所であることはもちろん、近年は、地域のコミュニティー、防災拠点としての役割も求められている。
 しかし、今年三月の消防庁のまとめで、全国の公立小中高校の校舎や体育館など一六万二六六一棟のうち耐震性に問題があると推計され、未改修のままになっているものは七万六五二棟(四三・四%)もあることが明らかになった。
 改築を要する施設の中には、国有地に建設されているため、地方自治体が増改築する際、国に増改築承諾料を収めなければならず、この財政負担が増改築を遅らせる一因ともなっている。一例を挙げれば、東京都世田谷区では一三の小中学校の改築承諾料予測額は二〇〇一年七月時点で一一億八六〇〇万円にもなるということである。
 世田谷区議会は、昨年九月二八日に「教育行政を推進する国の責務に鑑み、義務教育施設の増改築承諾料の廃止及び貸付料の免除を強く求める」という意見書を財務大臣、文部科学大臣に提出している。この意見書にあるように、政府は、公立学校の増改築承諾料を廃止し、国有地の貸付料は免除すべきである。
 さらに、汚い、臭い、暗い、傷んでいてもなかなか修理されないなど子どもの健康上の問題にもなっている学校のトイレの改修問題である。文部科学省は、国会質問や父母などの要望に応えて、二〇〇一年三月に学校トイレの補助基準「大規模改造事業(トイレ改造)の補助制度について」という通知を出し、(1)補助下限を引き下げて二〇〇〇万円を四〇〇万円にし、(2)トイレ改造の単独事業でも補助対象にするように改めた。この補助基準の引下げは、自治体のトイレ改造を促進している。しかし、まだ全国で沢山の公立小中学校のトイレについて、子どもたちから出されている「臭い」、「使いたくない」、「入口のドアを付けてほしい」などの声に応えるトイレ改造を行うには校舎の改築、改修のための予算が極めて不十分なものとなっている。
 これらの問題について以下質問する。

一、政府は、消防庁がまとめた耐震性がないと推計され、未改修になっている公立の小中高校の七万六五二棟について、この都道府県別の棟数を明らかにされたい。

二、政府は、七万六五二棟の耐震性の確保を行うべきであり、今後どのような段取りで耐震性の確保を行うつもりなのか、具体的に明らかにされたい。

三、政府は、地方自治体が義務教育施設の増改築を行う際に、増改築承諾料や借地料を徴収しているが、地方自治体から強く要望が出されているように、増改築承諾料を廃止するとともに、貸付料を免除すべきではないか。

四、公立学校の年間借地料及び改築承諾料はどの程度になっているのか、その額を都道府県別に明らかにされたい。また、今後予測される改築承諾料はどの程度になるのか、その額を都道府県別に明らかにされたい。

五、トイレ改造の補助基準を四〇〇万円に引き下げた以後、大規模改造事業費の年度ごとの推移及びトイレ改造を行った(今後の予定を含む。)学校数を都道府県別に明らかにされたい。

六、公立学校のトイレの改造、改修をもっと早く、大規模に進めるために、政府は、今後「大規模改造事業(トイレ改造)費」を大幅に増額すべきではないか。

  右質問する。