質問主意書

第154回国会(常会)

質問主意書


質問第二八号

平成十三年度国所管公益法人に対する立入検査の実施結果に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十四年六月十九日

山本 孝史   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   平成十三年度国所管公益法人に対する立入検査の実施結果に関する質問主意書

 公益法人は、行政府にも営利法人にもなじまないものの、広く社会全般の利益に資する活動を展開するために、社会に不可欠な法人として設立されているものである。その性格から、主務官庁制にて設立許可並びに指導監督され、税制優遇措置がなされるなどの特徴がある。その一方で、「公益」に見合う活動をしていると言い難い事業を行っている法人もあり、「公益」や「非営利」という共通の基盤で活動を行っている特定非営利活動法人と比べて不公平との指摘がある。公益法人制度全体の見直し議論が本年度中の大綱作成に向けて進行中ではあるが、公益法人制度のあるべき姿を検討するため、総務省がとりまとめた「平成十三年度国所管公益法人に対する立入検査の実施結果」(以下「立入検査」という。)に関して質問する。

一、立入検査において「改善すべき点があった」と指摘された法人(以下「要改善法人」という。)について、以下の諸点を明らかにされたい。

1 「要改善法人」の中に、「特定公益増進法人」の認定を受けている法人はあるか。ある場合は、(1)法人名、(2)所管省庁名、(3)改善すべきとされた指摘事項の具体的内容につきそれぞれ明らかにされたい。

2 「要改善法人」の中に、「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」(平成十四年三月二十九日閣議決定)において、具体的措置を講ずる対象となっている法人はあるか。ある場合は、(1)法人名、(2)所管省庁名、(3)改善すべきとされた指摘事項の具体的内容につきそれぞれ明らかにされたい。

3 「要改善法人」の中に、総務省の「平成十三年度公益法人に関する年次報告」(以下「年次報告」という。)の「資料48 有給常勤役員の平均年間報酬額規模別法人数」において、「二〇〇〇万円以上」に該当している法人はあるか。ある場合は、(1)法人名、(2)所管省庁名、(3)改善すべきとされた指摘事項の具体的内容につきそれぞれ明らかにされたい。

4 「要改善法人」の中に、「年次報告」の「資料49 所管官庁出身常勤役員がいる法人における有給常勤役員の平均年間報酬額規模別法人数」において、「二〇〇〇万円以上」に該当している法人はあるか。ある場合は、(1)法人名、(2)所管省庁名、(3)改善すべきとされた指摘事項の具体的内容につきそれぞれ明らかにされたい。

5 「要改善法人」の中に、「年次報告」の「資料56 事業費の総支出に占める割合別法人数」において、「一〇〇%超」に該当している法人はあるか。ある場合は、(1)法人名、(2)所管省庁名、(3)改善すべきとされた指摘事項の具体的内容につきそれぞれ明らかにされたい。

6 「要改善法人」の中に、「年次報告」の「資料57 管理費の総支出に占める割合別法人数」において、「一〇〇%超」に該当している法人はあるか。ある場合は、(1)法人名、(2)所管省庁名、(3)改善すべきとされた指摘事項の具体的内容につきそれぞれ明らかにされたい。

7 「要改善法人」の中に、「年次報告」の「資料60 指導監督上の収益事業費の総支出に占める割合別法人数」において、「一〇〇%超」に該当している法人はあるか。ある場合は、(1)法人名、(2)所管省庁名、(3)改善すべきとされた指摘事項の具体的内容につきそれぞれ明らかにされたい。

8 「要改善法人」の中に、「年次報告」の「資料67 内部留保の水準別法人数」において、「一〇〇〇%以上」に該当している法人はあるか。ある場合は、(1)法人名、(2)所管省庁名、(3)改善すべきとされた指摘事項の具体的内容につきそれぞれ明らかにされたい。

9 「要改善法人」の中に、「年次報告」の「資料69 株式保有会社数別法人数」において、「五〇社以上」に該当している法人はあるか。ある場合は、(1)法人名、(2)所管省庁名、(3)改善すべきとされた指摘事項の具体的内容につきそれぞれ明らかにされたい。

10 「要改善法人」の中に、「年次報告」の「資料84 10億円以上の補助金を受けた国所管公益法人」とされた法人はあるか。ある場合は、(1)法人名、(2)所管省庁名、(3)改善すべきとされた指摘事項の具体的内容につきそれぞれ明らかにされたい。

11 「要改善法人」の中に、「年次報告」の「資料85 10億円以上の委託費を受けた国所管公益法人」とされた法人はあるか。ある場合は、(1)法人名、(2)所管省庁名、(3)改善すべきとされた指摘事項の具体的内容につきそれぞれ明らかにされたい。

二、本立入検査が行われた三三三二法人のうち、「改善すべき点があった法人」は総数で一二三八法人に上った。この調査結果に対しての政府としての認識を示されたい。

三、「公益法人の指導監督体制の充実等について」(公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議申合せ)では、平成十五年度までの間にすべての国所管公益法人について立入検査を実施することとされているが、今回の検査では、所管公益法人数に対する立入検査実施率が、三・八%(金融庁)から九八・一%(警察庁)と各省庁間で大きく開いたのはなぜか。第一回目の調査結果において約三分の一の法人に「改善すべき点があった」ことが明らかになった以上、早急に国所管全公益法人において立入検査がなされるべきではないか。また、国所管の公益法人は全公益法人の三分の一であり、残りは地方所管の公益法人となるが、それらに対しても立入検査を早急に実施すべきではないか。政府としての見解を示されたい。

  右質問する。