質問主意書

第154回国会(常会)

質問主意書


質問第一一号

歯科技工士の技工料の決定方法に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十四年二月十九日

櫻井 充   


       参議院議長 井上 裕 殿



   歯科技工士の技工料の決定方法に関する質問主意書

 医療保険制度改革が叫ばれ、国民医療費の抑制と患者負担の増加が求められている。特に国民医療費の抑制に関しては、歯科医療の推進が効果的であることが指摘され始めている。すなわち、噛合わせの改善によって寝たきり高齢者の身体機能が回復したり、痴呆症状が改善したりと、歯科医療の推進が国民医療費の削減につながるのである。このような観点から、今後我が国において、歯科医療を重視することが非常に重要であると考えている。
 例えば、歯科医療物(補綴物)の製作の分野では、良質な歯科医療物の提供のために、現在の歯科技工士の厳しい労働条件を改善することが必要条件である。
 そこで、以下質問する。

一 昭和六十三年五月三十日に告示された「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法の一部を改正する件(厚生省告示第百六十五号)」において、歯冠修復及び欠損補綴料(以下「技工料」という。)は、歯科技工士と歯科医師が、おおむね七対三の割合で分けることが記されている。しかし現場では、この告示は余り守られていないばかりではなく、法的拘束力も持っていない。この告示は、なぜ法的拘束力を持たないのか、その理由を明らかにされたい。

二 このような現状を招いたのは、そもそも技工料が低いからだと思われる。なぜなら、患者の自己負担増による歯科患者の減少と現在の不況があいまって、歯科医師は厳しい経営を強いられており、技工料の取決めを守れないような状況に追い込まれているからである。よって、この告示に実効力を持たせるためには、技工料そのものを見直すことが重要であると考えるが、政府の見解を示されたい。

三 今後は、明確な役割分担に基づくチーム医療を進めるため、歯科医師、歯科衛生士及び歯科技工士などの歯科関係者がそれぞれ自立することが重要である。その意味では、技工料が歯科の枠内で設定されている現状は、歯科医師と歯科技工士の間に実質的な上下関係を形成してしまうため、適切でないと言える。よって、今後は技工料を歯科医師と明確に分離すべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。