質問主意書

第154回国会(常会)

質問主意書


質問第一号

勤務医を取り巻く諸問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十四年一月二十四日

櫻井 充   


       参議院議長 井上 裕 殿



   勤務医を取り巻く諸問題に関する質問主意書

 医療制度改革が叫ばれ、医療経済の議論が盛んである。その反面、医療事故や説明不足、受診者が中心になり得ないサービスなど、問題の大半は医療の主要な部分である病院で生じている。改革が求められるのはこの分野である。多くの政策が立案され実行されているが、問題が依然として解決しないのは、病院が抱えている問題の実態が明確に把握されていないところにあると考える。特に病院の勤務医の実態は、医療事故やサービスに密接に関係するため、この部分の分析は政策立案に際して重要なポイントである。
 そこで、以下質問する。

一 勤務医の労働条件は極めて過酷であり、このことが医療における安全性などに悪影響を及ぼしている。以下の各ケースは労働基準法に違反しているか。違反しているのであればどのような対処を行うつもりか。

ア 初期研修やその後の業務において、日勤、当直、日勤と、連続して睡眠も取らずに勤務したり、週末の休みもなく勤務することが広く行われているが、このような勤務形態
イ 研修医制度における、最低賃金どころか、まともに生活できない額しか支給されない給与制度

二 各大学病院の医局は臨床・研究・教育の他に、一般病院へ必要な医師を供給する役割を果たしてきたと言われる。しかし、その一方で、医師の人事の流動化を妨げたり、教授絶対主義が医療の遅れをもたらしているなどの批判もなされている。現在医局はどのような機能を果たしているのか。大学医局制度は現状のままでよいのか、それとも改善すべきか。改善するのであれば、どのような点を改善すべきと考えているのか、具体的に示されたい。

三 医師特に勤務医は、常勤換算で見て不足しているのか。また、不足の状況は地域ごとに違っているのか。不足や地域格差があるならば、このような状況をどのように改善していくのか。

四 近年、医師と医療費の削減が話題になっているが、業務量が増加している勤務医の給与は労働実績に照らせば年々低下している。勤務医の収入は、開業医、あるいは諸外国と比較して高いのか安いのか。具体的な数値を踏まえて答えられたい。

五 診療報酬の引下げが検討されているが、医療行為に規定されている保険点数は、諸外国と比較して高いのか安いのか。以下のものについて比較したデータを示し、格差がある場合については、それについてどのように考えるか。

ア 初診料・再診料
イ 胸部レントゲン撮影・心電図
ウ 心エコー
エ 冠動脈造影

六 診療報酬を決定する中央社会保険医療協議会委員に急性期病院の代表が入っていないのはなぜか。このような代表を加えなかったことで日本の診療報酬が格安にされてきたのではないか。今後このような代表を委員に加える予定はあるのか。

七 医療事故防止を目的として、危機管理委員会の設置(リスクマネジメント)が各病院で勧められているが、日本の医療(特に急性期)の現場の労働力は諸外国と比較して少ないと認識しているか。日本の医療事故の原因に医療現場での労働力不足や個々の医療従事者の加重労働があるのではないか。

  右質問する。