第153回国会(臨時会)
答弁書第二号
内閣参質一五三第二号 平成十三年十一月二十日 内閣総理大臣 小泉 純一郎
参議院議員櫻井充君提出歯科用水銀アマルガムに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員櫻井充君提出歯科用水銀アマルガムに関する質問に対する答弁書 一について 平成十二年社会医療診療行為別調査によると、平成十二年六月に歯科用水銀アマルガム(歯科アマルガム用合金等と歯科用水銀を併せて練和したもの。以下「アマルガム」という。)が充てんされた回数は二十三万千六十回となっているが、アマルガムが充てんされた歯牙の本数及びアマルガムの充てんを受けた患者の数については把握していない。
二について アマルガムは、毒物及び劇物指定令(昭和四十年政令第二号)第一条第十七号の「水銀化合物を含有する製剤」に該当し、毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)第二条第一項に規定する毒物であるが、耐久性及び操作性に優れた歯科材料として古くから世界的に使用されているものであり、平成九年に世界保健機関が主催した専門家会議においても、これまでの研究成果からアマルガムは安全であると考えられると報告されている。 三について アマルガムは、歯科アマルガム用合金等と歯科用水銀を併せて練和して歯牙に充てんするものであり、アマルガムが硬化する前に患者の口腔内で水銀が蒸気として遊離する可能性はある。
四について 水銀が口腔粘膜から吸収されるということは承知していない。 五について ヨーロッパ諸国においてアマルガムの使用を禁止する動きがあること及びアマルガムの使用を全面的に禁止している国があることについては承知していないが、環境への配慮等からアマルガムの使用を制限している国があることは承知している。 六について 火葬場において遺体の歯牙に充てんされていたアマルガムから発生したガスが原因で労働災害が生じた事案は承知していないが、今後、火葬場に勤務する労働者の健康を確保する観点から、当該ガスによって労働者の健康に何らかの影響があるか否かを検証することとしたい。
七について 公共用水域における水質については、水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)に基づき総水銀に係る常時監視が行われており、平成二年度から平成十一年度においては、平成八年度に一地点で環境基準を超えたことを除き、約四千八百地点すべてにおいて環境基準が達成されている。仮に歯科診療所等からの排水中に水銀が含まれていたとしても、総水銀に関して、公共用水域における水質は保全されていると考えている。
八について 平成四年度から厚生科学研究費補助金アレルギー総合研究事業等により、アトピー性皮膚炎を含めた免疫アレルギー疾患の原因及び病態の解明並びに治療方法の開発等に関する研究を行っているところであるが、アマルガムの充てんとアトピー性皮膚炎のり患との間に因果関係があるか否かについては、現時点では明らかではない。 九について アマルガムについては、歯科材料としての有用性が認められており、歯科医師が個々の患者の特性を十分考慮しながら使用するものであることから、現段階においてアマルガムの使用を禁止することは考えていないが、今後とも、歯科材料に関する情報収集など適切な歯科医療の提供のための施策の推進に努めてまいりたい。 |