質問主意書

第153回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六号

米軍厚木基地周辺の航空機騒音軽減に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十三年十二月四日

福島 瑞穂   


       参議院議長 井上 裕 殿


   米軍厚木基地周辺の航空機騒音軽減に関する質問主意書

 神奈川県にある米軍厚木基地周辺市町村住民は、過去四〇年以上にわたり離発着訓練等の航空機騒音に苦しめられている。この航空機騒音の軽減を目的として硫黄島訓練施設が作られたが、この施設が作られて以降も、厚木基地での離発着訓練の回数は年間三万回以上で推移しており、航空機騒音被害は全く軽減されていない。それどころか、近年の離発着訓練の回数は四万回に達するほどとなり、昨年は周辺七市及び神奈川県に寄せられる騒音苦情の件数が初めて五千件を超え過去最高となった。今年に入ってから航空機騒音は更に激しくなり、とりわけ夜間の離発着訓練、それも昭和三八年九月一九日の日米合同委員会で合意された「厚木飛行場周辺の航空機の騒音軽減措置」(以下「航空協定」という。)において飛行制限時間とされている夜一〇時から朝六時までの時間帯での飛行が急増している。よって航空協定と飛行制限措置の遵守について確認するため、以下質問する。

一 航空協定は、夜一〇時から朝六時までの米軍機の飛行活動について、「運用上の必要に応じ及び合衆国軍の態勢を保持する上に緊要と認められる場合を除き禁止される」と制限している。にもかかわらず、この時間帯の航空機騒音がこれまで年間百回から五百回に及ぶ状況で続けられてきていることについて政府は認識しているか。

二 とりわけ、本年九月において、同時間帯の騒音測定回数は月間数百回となり、多数の周辺住民が苦痛を訴えていることについて政府は認識しているか。

三 これらの数百回に及ぶ飛行制限時間帯における飛行訓練は、いずれも航空協定における制限の除外事由に当たると認められる事情がなければ行うことができない。航空協定が締結されてから今日までの制限時間帯における飛行訓練がどのような除外規定に当たるか政府はすべて把握しているか。
 把握しているならば、少なくとも本年九月の制限時間帯における飛行訓練の除外事由が何であったかを明らかにされたい。

四 政府は飛行制限時間帯における飛行訓練の除外事由の有無について、そもそも確認を行っているのか。行っているのであれば、どのような方法で確認が行われているのかを示されたい。

五 厚木基地の日米共同使用が取り決められ、飛行場施設が日本側に移管されたのは昭和四六年七月一日である。その後の昭和四八年一〇月九日の衆議院内閣委員会において、この共同使用の在り方について政府は、厚木基地の飛行場施設の米軍による使用は、地位協定第二条第四項(b)に基づく使用であり、米軍が専用する区域・施設に出入りする際に、その都度、使用を認める形態であると答弁している。したがって昭和四六年の共同使用の取決めは、この答弁のとおりのものであると理解してよいか。あるいは、日米共同使用の内容について、その後、日米が新たな合意をした事実があるか。

六 厚木基地の共同使用の取決めが、この政府答弁のとおりであるとすれば、午後一〇時から午前六時までの制限時間帯における米軍機の飛行活動についても、その都度、日本側がその活動目的を確認した上で使用を認めているはずであるが、この理解に間違いはないか。

七 米国国防総省は、在日米軍基地の使用に際しての環境への影響については、日本の国内法による日本政府の判断に従うとの姿勢を有し、その趣旨を厚木基地周辺の住民等が提起した訴訟の中で答弁していることについて政府は認識しているか。

八 日本政府側に、米国国防総省の姿勢についての認識がないならば、これについて米国政府に対し確認すべきであると考えるがどうか。

九 政府が確認した結果、そのとおりであることが判明すれば、厚木基地周辺の騒音被害について数次の司法判断も出ていることを踏まえ、米国政府と航空協定の強化、騒音問題の解決に向け協議すべきと考えるが、これについての政府の見解を示されたい。

  右質問する。