答弁書第六号
内閣参質一五二第六号
平成十三年九月十一日
内閣総理大臣 小泉 純一郎
参議院議長 井上 裕 殿
参議院議員渡辺孝男君提出咽喉部や気管カニューレ、気管内チューブなどの中の痰や分泌物を吸引する行為をヘルパーに特例として認めることに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員渡辺孝男君提出咽喉部や気管カニューレ、気管内チューブなどの中の痰や分泌物を吸引する行為をヘルパーに特例として認めることに関する質問に対する答弁書
一から四までについて
医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十七条は医師でない者が医業をなすことを禁止しているが、ここにいう「医業」とは、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある「医行為」を反復継続する意思をもって行うことであると解している。
ある行為が医行為に該当するかどうかは個々の事例に即して判断するべきものであるが、御指摘の咽喉部、気管カニューレ、気管内チューブ等にたまった痰等の分泌物を吸引除去する行為(以下「吸引行為」という。)は、患者の身体に及ぼす危険性を勘案すれば、原則として医行為に該当し、医師又は看護婦等が診療又は診療の補助として行うべきものと考えている。医療保険制度及び介護保険制度においても、このような考え方を前提として診療報酬及び介護報酬の上での評価を行っているところである。
このため、現段階において、このような医療関係資格を有していない訪問介護員が特例的に吸引行為を行うことを認めることを検討している事実はない。
なお、要介護者の状態に急変が生じた場合で医師又は看護婦等による速やかな対応が困難であるとき等において、訪問介護員が緊急やむを得ない措置として吸引行為を行うことは、それが反復継続する意思をもって行われたものでない限り、医師法第十七条に違反するものではない。
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