第152回国会(臨時会)
答弁書第三号
内閣参質一五二第三号 平成十三年九月十八日 内閣総理大臣 小泉 純一郎
参議院議員櫻井充君提出選挙における投票に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員櫻井充君提出選挙における投票に関する質問に対する答弁書 一のアからウまでについて 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)は、選挙が選挙人の自由に表明する意思によって公明かつ適正に行われることを確保することを目的としているところ、お尋ねの一のアからウまでに掲げる者のうち、投票する意思があり、かつ、いずれの候補者又は政党その他の政治団体(以下「候補者等」という。)に投票するかの意思を表明し得る選挙人で自らこれらの氏名又は名称若しくは略称を記載することができないものは、同法第四十八条の規定により、代理投票の制度を活用することができるが、投票する意思はあるがいずれの候補者等に投票するかの意思を表明し得ない選挙人又は投票する意思がなくしたがっていずれの候補者等に投票するかの意思を表明しない選挙人については、いずれの候補者等に投票するかの当該選挙人の意思が明らかにされることはなく、何らかの方法によってその意思を明らかにし当該選挙人が投票することができるとする制度はない。 一のエについて 総務省においては、投票所においていわゆるシックハウスの問題が発生し投票所に入場できなかった事例は承知していないが、公職選挙法第四十四条第一項に規定する投票所以外での投票は、選挙の公正の確保の観点から、同法第四十九条の規定による不在者投票又は同法第四十九条の二の規定による在外投票が認められる場合を除き、認められていない。
二について お尋ねの「ほかの人の手助けがなければそれを行えない人で、公職選挙法で明記されていない人」が具体的にどのような者を指すのか明らかではないが、体の不自由な選挙人を常時介護している者など、選挙人とともに投票所に入ることについてやむを得ない事情がある者として投票管理者が認めたものについては公職選挙法第五十八条の規定により投票所への入場が認められているほか、身体の故障又は文盲により自ら候補者の氏名又は政党その他の政治団体の名称若しくは略称を記載することができない選挙人は、同法第四十八条の規定により代理投票の制度を活用することができる。 三について 我が国では選挙制度発足当初に、立候補制度がとられていない状況において、選挙人が候補者の氏名を自書することにより投票を行ういわゆる自書投票主義の原則が採用された。大正十四年に立候補制度が採用された際も、投票用紙に候補者の氏名を印刷して投票所に配布することは実行することが困難であるとの理由から、自書投票主義が維持された。昭和三十七年及び昭和四十五年に公職選挙法の一部が改正され、地方公共団体の長の選挙及び議会の議員の選挙については候補者の氏名に対し○の記号を記載することにより投票する記号式投票によることができることとされ、現にこの記号式投票を採用している地方公共団体もあるところである。
四について 最近においては、政見放送への手話通訳の導入について、自治省(当時)で開催された「政見放送研究会」において調査研究が行われ、平成六年に報告が取りまとめられたほか、障害者や高齢者も含め、選挙人が投票しやすい環境を整えるという観点から、同省で開催された「投票環境の向上方策に関する調査研究会」において調査研究が行われ、平成九年に報告が取りまとめられており、これらの報告を踏まえて所要の制度の改正が行われたところである。
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