質問主意書

第152回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質一五二第一号

  平成十三年八月二十八日

内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 井上 裕 殿

参議院議員櫻井充君提出米国・デンバー前総領事の公金流用に対する告発文書の処理に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員櫻井充君提出米国・デンバー前総領事の公金流用に対する告発文書の処理に関する質問に対する答弁書

一について

 外務省における調査の結果、前在デンヴァー日本国総領事の元公邸料理人は、平成十二年春ごろ、当時相談相手としていた元在デンヴァー日本国総領事館領事(現在は外務省本省職員。以下「元領事」という。)に対し、それまでに作成していた御指摘の告発文書(以下「本件文書」という。)を渡したことが判明しており、元領事は、外務省内の知り合いの複数の職員に本件文書を配布した旨述べている。その後、本件文書は同年六月ごろまでに外務省在外公館課首席事務官の手元に届いていたことは判明したが、元領事が本件文書を配布した先及び本件文書が同首席事務官に届くまでの経緯については、関係者の記憶が定かではないこと等から確認するに至らなかった。そのため、お尋ねについては、右に述べた以上に関係者、本件文書の受渡しの日時、受渡しの理由等の事実関係を特定することは困難である。

二について

 お尋ねの「きちっとした形」での問題提起とは、梅田国際連合日本政府代表部公使としては、不正行為が疑われる事実関係を指摘し、適切な措置を採るよう担当部署等に求めることを考えていたものと承知している。
 外務省においては、外務公務員法(昭和二十七年法律第四十一号)第十六条の規定により、在外公館の事務が適正に行われているかどうかを査察する制度が設けられており、在外公館における職員の職務に関する不正行為についての情報を入手した場合には、同条第四項に基づく査察使に関する省令(昭和二十七年外務省令第二十一号)第一条第三項の規定により、臨時に当該公館に査察使を派遣し、特別に査察を実施するなどして適切に対処することとしている。

三及び四について

 国家公務員は、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百三十九条第二項の規定により、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならないとされている。そして、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第三十三条第一項の規定により、すべて職員の任用は能力の実証に基づいて行うとされていること、同法第七十四条第一項の規定により、すべて職員の分限、懲戒及び保障については、公正でなければならないとされていること、同法第七十五条第一項の規定により、職員は、法律又は人事院規則に定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはないとされていること等から、職員が、その認知した不正な行為を適宜の方法で申告しても、そのことを理由として不利益を受けることはないものと考えている。政府としては、このような現行制度を適切に運用してまいりたいと考えている。