第151回国会(常会)
第百五十一回国会答弁書第四三号
内閣参質一五一第四三号 平成十三年八月十日 内閣総理大臣 小泉 純一郎
参議院議員福島瑞穂君提出横須賀港の原子力空母母港化問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員福島瑞穂君提出横須賀港の原子力空母母港化問題に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねの「事実上の母港とすること」とは、アメリカ合衆国(以下「米国」という。)の海軍(以下「米海軍」という。)の海外家族居住計画に基づいて特定の米海軍軍艦の寄港地の近隣に同軍艦の乗組員の家族を居住させることを指すものと考えられるところ、二千一年の米国の国防報告によれば米国空母キティ・ホークは二千八会計年度に退役することが予定されているが、その後の横須賀港に関する米海軍の海外家族居住計画(以下「横須賀港の海外家族居住計画」という。)について、米国政府において何らかの決定がなされたとは承知しておらず、現段階において、政府としての見通しを述べることはできない。 二について 御指摘の米国国防総省報道官の発言とは千九百九十八年三月三十一日の記者会見の際の同報道官発言のことを、また、御指摘のスターズ・アンド・ストライプス紙の記事とは同年十一月九日付けの記事のことを指しているものと考えられるが、横須賀港の海外家族居住計画について、米国政府から何らの協議の申出を受けておらず、また、米国政府において何らかの決定がなされたとは承知していないことから、御指摘の発言又は記事について、米国政府に対し説明を求めたことはない。また、千九百九十八年八月に米国連邦議会の補助機関である米国連邦議会会計検査院が米国連邦議会に提出した「海軍航空母艦 通常型空母と原子力空母の費用対効果」と題する報告書の内容についても、当該報告書は米国政府の公式の立場と必ずしも同一ではないと承知しており、米国政府に対し説明を求めたことはない。 三について 御指摘のような放射能放出事故の被害の予測については、想定する放射能放出事故の態様、気象状況等の条件により結果が大きく異なり、有用な結果を得ることが困難であることから、行ったことはなく、また、現段階において行う予定はない。 四について 我が国に寄港する米国原子力軍艦については、その寄港中の放射能調査を実施してきており、この調査において米国原子力軍艦からの放射能の放出が確認されたことはない。
五について お尋ねの異常放射能計測事件が何を指すのか明らかではないが、昭和四十三年五月、佐世保港に米国原子力潜水艦ソード・フィッシュが寄港した際、同港において高い放射線測定値が観測されたことがある。この際には、科学技術庁(当時)において、現地調査を含む専門家による検討を行ったが、当該放射線測定値がソード・フィッシュの寄港によるものと科学的に確認するには至らなかった。
六について 米国政府は、我が国に寄港する原子力軍艦の防災対策として、累次にわたる声明等をもって、当該原子力軍艦の安全性を保証するとともに、当該原子力軍艦において米国の港における運航に関連してとられる安全上のすべての予防措置及び手続が厳格に遵守される旨を保証しているところである。また、米国政府は、原子力軍艦が我が国の港において航行不能になった場合には、当該原子力軍艦をサルベージその他の方法により安全な状態とする責任を負う旨等を明らかにしている。政府においても、原子力軍艦の寄港に際しては一層の安全確保と事故防止に万全を期すよう、米国政府に対し累次申し入れてきているところである。
七について 一についてで述べたとおり、横須賀港の海外家族居住計画について、米国政府において何らかの決定がなされたとは承知していない。横須賀海軍施設の十二号バースの整備については、その老朽化が著しく、また、現在、米海軍の艦船の使用にとって長さが不足しており、特に空母の係留、整備、補給等に支障を来している状況にあることから、これらの不具合を解消し、横須賀海軍施設の円滑な運用を図るべく計画され、現在、周辺環境に与える影響を評価しながら実施しているものであり、お尋ねのように、政府が横須賀港の海外家族居住計画のために同バースの整備を行っているということはない。 |