質問主意書

第151回国会(常会)

答弁書


答弁書第二八号

内閣参質一五一第二八号

  平成十三年七月二十三日

内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 井上 裕 殿

参議院議員福島瑞穂君提出被収容者の増加と刑務官等の労働条件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員福島瑞穂君提出被収容者の増加と刑務官等の労働条件に関する質問に対する答弁書

一について

 全国の刑務所、少年刑務所及び拘置所(以下、これらを合わせて「行刑施設」という。)における平成八年度から平成十二年度までの五年間の職員定員の推移は、別表一のとおりである。

二について

 全国の行刑施設における平成八年から平成十二年までの五年間の未決被収容者及び既決被収容者別の一日平均収容人員及びそれぞれの内訳は、別表二のとおりである。

三について

 全国の行刑施設における刑務官及び法務教官並びに全国の少年院における法務教官の平成十年度から平成十二年度までの三年間の一人当たりの平均休日出勤日数及び平均年次休暇取得日数は、別表三のとおりである。

四について

 行刑施設においては、警備用機器の導入、自動車運転業務や施設間の給食品配達業務等の民間委託の推進などにより、限られた数の職員を効率的に配置するよう努めているところであるが、今後とも、被収容者の収容を確保し、適正な処遇を実施するため、要員の確保を図ってまいりたい。

五について

 全国の行刑施設における刑務官及び法務教官並びに全国の少年院における法務教官の平成十年度から平成十二年度までの三年間の単身赴任者数は、別表四のとおりである。
 職員の人事異動については、業務運営上の必要性並びに本人の適性、希望及び家庭の事情等を総合的に勘案して実施しているところであり、今後とも、これらの点に配慮して適正な人事異動を実施してまいりたい。

六について

 行刑施設について、平成十三年六月一日現在における各施設ごとの収容定員、被収容者数及び収容定員に対する収容率は、別表五のとおりである。

七について

 多数の行刑施設が収容定員を超えて被収容者を収容している状況にあるが、この過剰収容の状況に対処するため、栃木刑務所、千葉刑務所、大阪刑務所等の行刑施設について新たに収容棟を増築中であるほか、各行刑施設において、収容棟内にある集会室等を一時的に改造して監房数の増加に努めるなどする一方、食糧費や被服費等の被収容者の基本的生活関連経費の確保に努めており、職員についても、具体的な増員計画があるわけではないが、要員の確保を図ってまいりたい。

八について

 行刑施設における職員の定員については、個々の施設における被収容者の人員、既決・未決の別、国籍、刑期の長短、犯罪傾向の進度等のほか、施設の立地条件、建物の配置状況・構造等、各施設の実情を総合的にしん酌した上で、必要な数を決定しており、刑務官一人当たりの被収容者数を算定根拠としているものではない。

九について

 平成八年から平成十二年までの五年間の法務大臣に対する情願の件数の推移は、別表六のとおりである。
 法務大臣に対する情願がこの数年増加している原因は、必ずしも明らかではないが、収容人員の増加がその一因となっているものと考えている。

一〇について

 お尋ねの各被収容者についての措置としては、外国人被収容者については、種々の処遇場面における職員との意思の疎通を図るため、職員の語学力の向上、通訳人の確保等に努めており、高齢被収容者については、その身体状況に対応した施設の整備、必要な医療の充実等に努めており、女性の被収容者については、被収容者数の急増に対応するため、収容棟の増設、必要な女性職員の確保等に努めているところであり、今後とも、これらの施策の充実を図る必要があると考えている。

一一について

 行刑施設の職員による夜間の巡回視察については、現在、法務省において、保安事故発生のおそれが少ないと考えられる者等に対する巡回視察の間隔を伸長することができるか否かを含め、その在り方について検討しているところである。

一二について

 未決被収容者が発受する信書については、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三十九条第二項、監獄法(明治四十一年法律第二十八号)第五十条及び監獄法施行規則(明治四十一年司法省令第十八号。以下「規則」という。)第百三十条により、行刑施設の長がこれを検閲することとされており、未決被収容者と刑事訴訟法第三十九条第一項に規定する弁護人又は弁護人となろうとする者との間の信書の発受であっても、未決勾留の目的達成のため、必要な範囲で内容を検査することができると考えている。

一三について

 被収容者の接見については、監獄法第五十条及び規則第百二十七条第一項により、刑事被告人と弁護人との接見の場合を除き、監獄官吏が立ち会うこととされているところ、同条第三項並びに行刑累進処遇令(昭和八年司法省令第三十五号)第六十五条及び第六十六条により、所長が受刑者につき教化上その他必要があると認めた場合及び第二級以上の受刑者の場合には、それぞれ立会いを省略することができることとされている。このような場合以外の場合において、接見の立会いを省略するなどすると、行刑施設の規律及び秩序を害する行為や逃走等収容目的を阻害する行為を防止することが困難となるおそれがあるほか、接見を通じて観察了知される事情を当該被収容者に対して適切な処遇を実施するための資料とすることができなくなるという問題があると考えている。
 また、信書の発受に際し簡略な検査にとどめるなどした場合にも、接見について述べたところと同様の問題があると考えている。

別表一

別表二 1/2

別表二 2/2

別表三

別表四

別表五 1/14

別表五 2/14

別表五 3/14

別表五 4/14

別表五 5/14

別表五 6/14

別表五 7/14

別表五 8/14

別表五 9/14

別表五 10/14

別表五 11/14

別表五 12/14

別表五 13/14

別表五 14/14

別表六