質問主意書

第151回国会(常会)

答弁書


答弁書第一七号

内閣参質一五一第一七号

  平成十三年五月二十九日

内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 井上 裕 殿

参議院議員櫻井充君提出薬害エイズ問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員櫻井充君提出薬害エイズ問題に関する質問に対する答弁書

一について

 後天性免疫不全症候群AIDSの実態把握に関する研究班(以下「エイズ研究班」という。)は、エイズ対策の前提となる医学的知見を得るため、日本におけるエイズ患者の実態把握に関する研究、エイズ診断基準の設定に関する研究及び血液製剤に関する研究の三課題について学術的な研究報告を行うことを目的として設置されたものである。なお、当時の厚生省薬務局生物製剤課長によれば、安部英氏が班長となったのは、エイズ研究班の構成員の中で年長者であったこと等によるものである。

二について

 エイズ研究班の構成員は各分野における権威を集める観点で選考されたものであったことから、安部氏は当時血友病治療の分野における権威の一人であると認識されていたと考えられる。
 なお、現在安部氏を被告人とする刑事訴訟が係属中であり、同氏が当時HIVの知識をどの程度持っていたのかについては、当該訴訟の公判において明らかにされるべきものと考えている。

三について

 エイズ研究班の設置当時血液又は血液製剤によるエイズの伝播の可能性は示唆されていたと承知しているが、当時のエイズ研究班の構成員にHIVの感染についてどの程度の認識があったかについては、エイズ研究班の班長であった安部氏を被告人とする刑事訴訟が係属中であり、当該訴訟の公判において明らかにされるべきものと考えている。

四について

 当時エイズ研究班の構成員と厚生省の間で相互に情報を提供し合うことが期待されていたと考えられるが、そのどちらがHIVに関する情報に多く接していたかについては明らかでない。

五について

 厚生省においてエイズ研究班の班長の任命行為を行った事実はない。

六について

 加熱製剤を含め医薬品の承認権限は厚生大臣が有していたものであるが、個々の患者に対する加熱製剤の使用や血友病治療の方法については、他の医療行為と同様に、個々の医師が自らの有する知見に基づき決定していたものと考えられる。