質問主意書

第151回国会(常会)

答弁書


答弁書第七号

内閣参質一五一第七号

  平成十三年三月六日

内閣総理大臣 森 喜朗   


       参議院議長 井上 裕 殿

参議院議員照屋寛徳君提出日出生台演習場における民間人による一五五ミリりゅう弾砲発射事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員照屋寛徳君提出日出生台演習場における民間人による一五五ミリりゅう弾砲発射事件に関する質問に対する答弁書

一について

 沖縄県に駐留するアメリカ合衆国海兵隊(以下「在沖米海兵隊」という。)が沖縄県道一〇四号線越え実弾射撃訓練を本土に移転して行う訓練(以下「実弾射撃移転訓練」という。)を日出生台演習場において実施したことに伴い、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定(平成七年条約第二十四号)第三条に基づき、平成十二年度において我が国政府が負担する経費については、現在確定作業中であることから、その概算額を含め、現時点ではお答えすることができない。
 なお、平成十一年度における右の経費は、約一億六千五百万円であった。

二について

 福岡防衛施設局米海兵隊実弾射撃訓練実施現地対策本部(以下「現地対策本部」という。)の設置目的等については、別表第一のとおりである。

三について

 平成十三年二月九日、日出生台演習場において、関係地方公共団体の関係者等を対象として、実弾射撃移転訓練の一部が公開されたが、この訓練(以下「本件訓練」という。)に参加した在沖米海兵隊の隊員(以下「海兵隊員」という。)の数は約二百十名であり、その指揮官はジョーン・H・オーヘイ海兵隊中佐であり、本件訓練に使用した兵器の数は百五十五ミリりゅう弾砲四門であり、本件訓練に使用した車両の数は約四十台である。

四について

 本件訓練を見学した者(以下「見学者」という。)の人数等は、別表第二のとおりである。
 見学者の入選はそれぞれの地方公共団体等が行ったことから、その手続等については、承知していない。
 本件訓練の公開の目的は、大分県を始めとする関係地方公共団体の実弾射撃移転訓練に対する理解を深めるためであったと承知している。

五について

 本件訓練の公開に立ち会った福岡防衛施設局(以下「福岡局」という。)の職員(防衛施設庁本庁からの支援職員を含む。以下同じ。)の人数等は、別表第三のとおりである。

六について

 本件訓練の公開の際に百五十五ミリりゅう弾砲の拉縄を引いた三名の見学者の氏名及び職業を明らかにすることは、個人の権利利益を害するおそれ等があるため、答弁を差し控えたい。
 在沖米海兵隊によれば、日出生台演習場における実弾射撃移転訓練が安全に実施されていることについて理解を深めるため、安全を確認した上で、見学者に拉縄を引かせたとのことである。

七について

 お尋ねの行為が銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三十三年法律第六号)第三条第一項並びに火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)第二十一条及び第二十五条に違反するかどうかは、具体的な事実関係のいかんによる。
 自衛隊の演習場は、銃砲刀剣類所持等取締法施行規則(昭和三十三年総理府令第十六号)第三条の三第二号に該当する施設であるので、同演習場においてけん銃等を発射することは銃砲刀剣類所持等取締法第三条の十三に違反しないことから、お尋ねの行為は同条に違反しない。
 日本人による犯罪行為については、我が国に駐留するアメリカ合衆国軍隊(以下「在日米軍」という。)が自衛隊の演習場内において演習中に発生したものであるか否かを問わず、我が国の法令に基づいて、我が国の捜査機関が捜査することができる。

八について

 現地対策本部において、本件訓練に立ち会った福岡局の職員及び見学者からの聞き取り調査を行ったほか、在日米軍の司令部を通じるなどして海兵隊員からの情報を得た上で、これらを総合的に判断した結果、御指摘の事案は、海兵隊員が、射撃のため射角の設定、砲弾の装てん、所定の装薬の選定及び挿入等の一連の手順を終え、安全を確認した後、見学者のうち三名が、海兵隊員の呼び掛けに応じて、海兵隊員の指示に従って、各人が一回ずつ拉縄を引いたというものであったことが判明した。なお、現地対策本部においては、平成十三年二月十六日、「日出生台演習場での米海兵隊射撃訓練公開時に見学者が発射のためのヒモを引いたことに関する調査結果について」と題する報告書を取りまとめ、関係地方公共団体に説明するとともに、報道関係機関にも公表した。
 御指摘の事案が発生した際、福岡局の職員二名が見学者の一部の者が拉縄を引くのを目撃したものの、砲から比較的離れた場所にいたことからこれを制止できず、本件訓練終了後直ちに現地対策本部の本部長である福岡局施設部長にこれを報告した。この報告を受けた同部長は、当日、本件訓練の指揮官に対し、部隊の練度維持を図るという実弾射撃移転訓練の目的、趣旨にかんがみれば、このような行為は適切ではないと考えている旨を伝え、今後このようなことが生じないよう申し入れたところ、同指揮官から、今後このようなことはしない旨の回答を得たところである。
 防衛施設庁においては、今後二度とこのようなことが起こらないよう万全を期するため、防衛施設庁長官から、福岡防衛施設局長を始めとする関係防衛施設局長に対し、注意を喚起するとともに、在沖米海兵隊との間で十分調整するよう指導したところである。

別表第一

別表第二

別表第三