第151回国会(常会)
質問第四四号
高レベル放射性廃棄物地層処分の研究開発に関する再質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成十三年六月二十八日 福島 瑞穂
高レベル放射性廃棄物地層処分の研究開発に関する再質問主意書 先の高レベル放射性廃棄物地層処分の研究開発に関する質問主意書に対する四月十三日付け答弁書から、高レベル放射性廃棄物処分のための処分地選定調査が、動力炉・核燃料開発事業団によって、全国約五百七十地点にも及び実施されていたことが明らかとなった。その上、本件調査実施に先行する形で本件以外の調査が同じく動力炉・核燃料開発事業団によって実施され、二十二冊の報告書にまとめられていたことも明らかとなった。これは国民にとって驚くべきことである。
一、答弁書によると「放射性廃棄物処理処分方策について(中間報告)」(昭和五十九年八月七日原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会報告。以下「昭和五十九年中間報告」という。)及び「放射性廃棄物処理処分方策について」(昭和六十年十月八日原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会報告。以下「昭和六十年報告」という。)を受けて、動力炉・核燃料開発事業団は高レベル放射性廃棄物の処分予定地の選定主体として「広域調査地表調査シート(昭和61年度および昭和62年度)」を作成し、さらに「原子力開発利用長期計画」(昭和六十二年六月二十二日原子力委員会決定。以下「昭和六十二年長期計画」という。)によって動力炉・核燃料開発事業団は処分予定地の選定主体ではなくなったにもかかわらず、「地質環境等の適性を評価するための調査」として、処分予定地の選定主体であったときと同名の「広域調査地表調査シート(昭和63年度)」を作成したとされる。
二、動力炉・核燃料開発事業団が一九八八年(昭和六十三年)に作成した「中部事業所の業務概要」では、「国の定める方針に沿って処分予定候補地の選定に資するため、全国を対象とした地質環境調査を行うこととしており」、「63年度も調査を継続します。」と記している。この業務概要は、昭和63年度調査を明らかに61年度、62年度に続く一連の調査であると認識しており、核燃料サイクル開発機構が位置付けの違う調査を同名で行ったとする答弁書における説明とは隔たりがある。「中部事業所の業務概要」のように「広域調査地表調査シート(昭和61年度および昭和62年度)」と「広域調査地表調査シート(昭和63年度)」は、一連の調査報告書と考えるべきではないか。 三、動力炉・核燃料開発事業団が、答弁書のように昭和五十九年中間報告及び昭和六十年報告を受けて高レベル放射性廃棄物の処分予定地の選定主体と位置付けられ、具体的に全国を対象とした文献調査や地表踏査を実施しながら、昭和六十二年長期計画によって処分予定地の選定主体ではなくなったのはなぜか、理由を明らかにされたい。 四、原子力開発利用長期計画(昭和六十二年六月二十二日改訂)の改定を目前に控えた、昭和六十一年十一月二十一日に科学技術庁原子力局は、実施時期を昭和六十二年から六十六年までという長期で、しかも長期計画改訂時期と重なることを承知で「地層処分研究開発5ケ年計画」を策定した。 1 なぜこの時期に「地層処分研究開発5ケ年計画」を策定したのか。
五、一九八六年(昭和六十一年)に土岐市にある動力炉・核燃料開発事業団・中部探鉱事業所が、「中部事業所」に名称変更され、環境地質課が設置された。 1 環境地質課の「環境」とは何を意味するのか。
六、答弁書により動力炉・核燃料開発事業団が「本件以外の広域調査」を実施し、二十二冊の報告書が存在していることが明らかになった。この「本件以外の広域調査」を計画立案した時期、具体的に実施した期間(開始と終了の時期)と実施部署を各報告書ごとに明らかにされたい。 七、本件調査と本件以外の広域調査との関係については、この二つの調査の実施時期から推測して、本件以外の広域調査が先行し、地域別にリモートセンシングをして絞り込み、その上で約五百七十地点の広域調査を実施したと考えてよいか。もし仮にリモートセーシングによる絞り込みでないとしたら、調査のために約五百七十地点を選定した経緯を明らかにされたい。 八、約五百七十の調査地点の公表及び本件以外の広域調査地点の公表は当然なされるべきものである。動力炉・核燃料開発事業団が、国の指示に従って、「処分予定地選定」という役割を果たすために約五百七十地点の本件調査を実施し、本件以外の広域調査を実施したことは、答弁書で明らかなとおりである。動力炉・核燃料開発事業団に「処分予定地選定」という役割を課したのは国であり、政府の責任において答弁書に示された約五百七十地点の公表を指示するか、あるいは政府の責任において公表すべきであると考えるがどうか。 九、本件調査及び本件以外の調査は、これまでどの場面でどのように活用されたのか、あるいは全く活用されていないのか、具体的に示されたい。 十、動力炉・核燃料開発事業団は、本件調査及び本件以外の調査の他に、処分予定地選定のための調査を実施したか否か。実施したのであれば、その調査のすべてを明らかにされたい。また、その調査をこれまで何に活用したかを明らかにされたい。 十一、動力炉・核燃料開発事業団は上記一連の調査実施に当たり、当該自治体に対し、調査内容や調査の目的を説明し、了解を得たか。 右質問する。 |