質問主意書

第151回国会(常会)

質問主意書


質問第四一号

公正取引委員会の「著作物再販制度の取扱いについて」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十三年六月二十八日

大脇 雅子   


       参議院議長 井上 裕 殿


   公正取引委員会の「著作物再販制度の取扱いについて」に関する質問主意書

 雑誌・書籍、新聞及びレコード盤・音楽用テープ・音楽用CDの再販に関する独禁法適用除外制度の廃止の是非について、公正取引委員会(以下「公取委」という。)は、去る三月二十三日に「著作物再販制度の取扱いについて」(以下「見解」という。)を発表し、著作物再販制度を「競争政策の観点からは同制度を廃止し、著作物の流通において競争が促進されるべきであると考える」としながらも、「文化・公共面での影響が生じるおそれがあるとし、同制度の廃止に反対する意見も多く、なお同制度の廃止について国民的合意が形成されるに至っていない状況にある」との現状理解から、「現段階において独占禁止法の改正に向けた措置を講じて著作物再販制度を廃止することを行わず、当面同制度を存置することが相当であると考える」と結論した。
 著作物再販制度は言論・出版・表現の自由と学問・文化・芸術の継承・発展・多様性のために不可欠であり、専門的学術や先進的な少数意見を伝達可能とし、また、これらの著作物を安価に国民が入手できることによって、我が国の社会と文化、民主主義の発展に最も効率よく大きく寄与しており、著作物再販制度の存続を求める立場から、次の諸点について質問する。

一、見解は、いかなる法的性格の文書なのか、すなわち何らかの法的強制力、行政処分性を有する文書なのか否かについて明らかにされたい。

二、見解は、著作物再販制度を「当面」「存置することが相当」と結論しているが、「当面」とはいかなる期間、年数をいい、またいかなる要件、条件を想定しているのか、具体的に明らかにされたい。

三、見解は、公取委として「著作物再販制度の廃止について国民的合意が得られるよう努力を傾注する」と述べているが、いかなる予算的裏付けのもとに具体的に何をする予定なのか、明らかにされたい。

四、前記「国民的合意」とはいかなる指標・基準によって誰が判断するのか、具体的に明らかにされたい。

五、「関係業界に対し、非再販商品の発行・流通の拡大、各種割引制度の導入等による価格の設定の多様化等の方策を一層推進することを提案し、その実施を要請する」としているが、具体的にはどのような各種割引制度等を想定しているのか、明らかにされたい。

六、前記割引制度が、著作物再販制度に抵触する場合として、どのようなケースを考えているのか明らかにされたい。
 また、いわゆるポイントカードは再販契約に抵触するとの見解が一般的であるが、公取委はいかなる見解を有しているのか明らかにされたい。また、抵触しないとの考えならば、いかなる理由によるものか、併せて明らかにされたい。

七、五の「実施の要請」を関係事業者が適当ではないとの判断のもとに実施しなかった場合、公取委は消費者利益に反する再販制度の硬直的運用とみなすのか、またそうみなした場合、何らかの強制的な処置を採るのか、明らかにされたい。

八、著作物の流通についての意見交換の場としての「協議会」は、どのような目的、構成メンバーで、どのような頻度で、いつからいつまで開催されるのか明らかにされたい。また、具体的には何を検討し、そこで決定されたことを関係事業者に実施を約束させるような組織か否か、明らかにされたい。

九、見解は今後、「取引実態の調査・検証に努める」としているが、具体的にどのような手だてを考えているのか明らかにされたい。

十、公取委は、今後、著作物再販制度をどのように取り扱っていくのか明らかにされたい。

  右質問する。