質問主意書

第151回国会(常会)

質問主意書


質問第三六号

出入国管理及び難民認定法の旅券等証明書常時携帯義務違反の運用に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十三年六月十八日

福島 瑞穂   


       参議院議長 井上 裕 殿


   出入国管理及び難民認定法の旅券等証明書常時携帯義務違反の運用に関する質問主意書

 一九九〇年代に入り、外国人登録法第一三条の常時携帯義務違反の容疑で摘発される在日外国人が激減する一方で、出入国管理及び難民認定法第二三条の旅券等証明書常時携帯義務違反の容疑で摘発される者の数が急増している。その運用状況をめぐり、以下質問する。

一 警察庁がインターネットホームページで公開している警察庁来日外国人犯罪等対策室「来日外国人問題の現状と対策(平成一二年中)」の中の「入管法違反検挙状況」(二二ページ)に関して、一九八一年から一九九〇年まで各年の「旅券等不携帯提示拒否」件数及び人数を明らかにされたい。

二 近年、日本国民の多民族化が進行する中で、日本語を母語としない日本国籍者が、外国人登録証明書あるいは旅券の提示を求められ、運転免許証等の身分証明書を何ら所持していないために、警察に連行されるケースが生じている(「東方時報」二〇〇〇年四月一二日号)。人種、民族あるいは言語によって、日本国民とそうでない者を区別できず、また日本国民には身分証明書の常時携帯が義務付けられていない現状の中で、警察官は何を基準に日本国籍者と外国籍者を区別しているのか、明らかにされたい。また、このようなケースを生じさせないために、どのような対策が必要と考えるか、政府の見解を示されたい。

三 警察官が在留外国人と思われる者を、旅券等の証明書も外国人登録証も携帯していないことを理由として逮捕する場合、外国人登録証明書の常時携帯義務違反か、旅券等常時携帯義務違反のいずれを適用するかについての判断基準はあるか、明らかにされたい。

四 以下の三八か国について、在留外国人に対する旅券常時携帯義務があるか否か、ある場合はその対象者と根拠となる法令等を明らかにされたい。また、旅券不携帯に対する罰則があるか否か、ある場合はその内容及び根拠となる法令等についても、明らかにされたい。
 スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、オランダ、デンマーク、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル、スイス、ベルギー、アイスランド、ロシア、アメリカ、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ニュージーランド、中国、韓国、タイ、フィリピン、マレーシア、インドネシア、シンガポール、インド、イラン、トルコ、ブラジル、チリ、ペルー、メキシコ、アルゼンチン、南アフリカ、エジプト、ケニア。

五 私の平成一二年六月一日付け国際人権規約委員会「最終見解」についての実施状況に関する質問に対する答弁書(内閣参質一四七第五三号)の第三の6で、「改正後の外国人登録法の運用上の留意点等を取りまとめた執務資料を都道府県警察に発出し、その適切な運用に努めている」と記しているが、その運用上の留意点等とは具体的にどのようなことなのか、明らかにされたい。

  右質問する。