質問主意書

第151回国会(常会)

質問主意書


質問第三五号

少額訴訟手続等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十三年六月十二日

海野 義孝   


       参議院議長 井上 裕 殿


   少額訴訟手続等に関する質問主意書

 現在、我が国では、規制緩和を中心に市場機能の発揮を重視した社会の実現に向けて構造改革が推進されている。こうした流れの中で消費者政策においては、消費者契約における紛争の公正かつ円滑な解決のための民事ルールである消費者契約法が本年四月に施行されたところである。このことによって、従前の行政の事前規制による消費者保護政策から、消費者契約に係る民事ルールに沿って、消費者が自己責任原則にのっとり消費者トラブルの解決、救済を図る事後監視型の政策への転換が図られたことになる。
 同法は裁判における紛争処理規範であり、その実効性を高めるためには、裁判制度が消費者にとって利用しやすいものでなくてはならない。その中でもとりわけ、国民に身近な簡易裁判所における、紛争のより簡易かつ適正、迅速な解決を図るためのシステムの整備が喫緊の課題であるとの立場から、以下質問する。

一、簡易裁判所において平成十年に少額訴訟制度が新設されるなど、国民の期待にこたえる司法を目指して、紛争事件解決の適正化及び迅速化に向けての取組が進められている。少額訴訟制度の創設から現在までに取り扱われた事件の種類及び件数について明らかにするとともに、同制度の効果について政府の認識を示されたい。

二、同制度の利用限度額を上回る等、同制度の対象外のいわゆる市民紛争型事件についても、昨年から東京や大阪の簡易裁判所において、同制度に準じた取扱いをする、いわゆる準少額訴訟事件手続が研究的に運用されているようであるが、このような運用実態を踏まえれば、少額訴訟制度を更に国民の利用しやすいものとするために、利用限度額の引上げ、期日の回数等についてその見直しを検討する必要があると思われるが政府の認識を示されたい。

三、これまで、準少額訴訟手続のように個々の裁判官において工夫して運用されている訴訟手続について、民事裁判法制の整備等への参考とするための情報収集を行ってきたのか。もし行っていないのであれば、今後積極的に取り組むべきと考えるが政府の認識を示されたい。

四、今後、消費者が簡易裁判所をより簡便に利用できるようにするためには、消費生活センター等のADR(裁判外紛争処理機関)から簡易裁判所に円滑に接続できるようにすることが重要である。例えば本年、初の試みとして東京簡易裁判所において、国民生活センター等との意見交換会が実施されたと聞いており、今後、このようにADRと裁判所の連携を積極的に図るべきと考えるが、政府のこれまでの取組を示すとともに、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。