質問主意書

第151回国会(常会)

質問主意書


質問第二六号

年金福祉事業団に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十三年五月十日

櫻井 充   


       参議院議長 井上 裕 殿


   年金福祉事業団に関する質問主意書

 平成十三年四月一日に年金福祉事業団(以下「事業団」という。)の業務を継承する新たな特殊法人として、年金資金運用基金が設立された。事業団は融資の原資となっている年金を勤労者から借りていることを忘れ、あたかも自分達の自己資金のごとく無計画に関係公益法人に融資し、利権の構築を図ってきた。多額の未回収の資金を抱えながら、新しい特殊法人もまた融資を継続することとなっている。事業団の不良債権問題を解決できなければ、そのツケは結局年金を支払っている勤労者に跳ね返ることになる。このような事業団の経営を許してきた厚生省(現厚生労働省)と、事業団とその関連団体が生み出した利権に依存する者は厳しく断罪されなければならない。
 そこで、以下質問をする。

一 事業団が解散した時点と現時点での、事業団の融資の未回収額累計はいくらか。そのうち日本老人福祉財団、大規模年金保養基地(グリーンピア)事業、それぞれの未回収額累計はいくらか。

二 事業団が解散した後、一の未回収額はどのように回収されてきて、今後どのようにこれらを回収していくのか。

三 このように事業団が多額の赤字を生み出しその回収の目途もついていないことの責任を誰がどのようにとったのか。責任をとっていないのなら今後どのようにしてとるつもりか。

四 平成九年十月、事業団は日本老人福祉財団に対して、そのずさんな経営が分かっていたにもかかわらず六十億三千万円もの融資を行ったのはなぜか。また、そのときの審査は適切であったか。

五 日本老人福祉財団が経営していた「ゆうゆうの里」に入居している利用者の権利は保障されているのか。彼らに対するサービスが低下している話も聞いているが、これは契約違反ではないか。以前、厚生省の幹部はサービスを低下させないよう指導する旨述べていたが、実際その後サービスが低下しないよう指導を行ったのか。また、実態を調査したのか。

六 平成九年六月六日の閣議決定で、事業団は適切な経過措置を講じた上住宅融資から撤退することとなったが、この適切な経過措置とはどのようなことか。また、なぜ直ちに住宅融資から撤退しないのか。

七 事業団の時代も含めた基金の住宅融資の未回収額の累計はいくらか。

八 事業団の審査基準や、取引銀行などの情報公開を行うつもりはあるか。

九 これまでに多大な赤字や、不良債権を生み出した事業団を監督した厚生省に責任はないのか。また、今後厚生労働省に年金資金を運用する能力があるのか。

  右質問する。