質問主意書

第151回国会(常会)

質問主意書


質問第二五号

地方債発行に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十三年五月八日

櫻井 充   


       参議院議長 井上 裕 殿


   地方債発行に関する質問主意書

 平成五年の地方分権の推進に関する国会決議以来、国から地方公共団体へ権限を委譲する作業が続けられ、平成十三年四月一日の地方分権一括法施行により、地方公共団体は地域の行政を自主的にかつ総合的に実施する役割を担うこととなった。地方公共団体が自主的に行政を運営するためには、財政権が確立されていなければならないが、いまだに政府、都道府県による地方債起債許可制度が存続し、地方自治体が地方債を自由に発行できない状態が続いている。
 そこで、以下質問をする。

一 都道府県による起債を国が制限したり、市町村による起債を都道府県が制限する地方債起債許可制度は、地方自治体の財政権を奪うものである。これは地方分権一括法の精神に反するのではないか。また、地方公共団体の財政権を保障した憲法第九十四条に反するのではないか。

二 地方公共団体が地方債を発行することを制限している理由は何か。また、それは地方分権の流れの中でも必要なことなのか。

三 平成十八年度から地方債起債の許可制が廃止され、事前協議制となるが、実際にはこの協議制によっても地方公共団体の地方債起債が制限されるおそれが大いにある。事前協議制において地方公共団体の財政権がどのように確保されると考えているのか。

四 平成八年十二月六日衆議院予算委員会で、大森内閣法制局長官(当時)は、憲法第六十五条の「行政権」について、地方公共団体に属する地方行政執行権を除いた行政の主体が内閣である旨述べている。これは地方公共団体の行政権ひいては財政権を明確に認めたものであると思われるが、これに対する政府の見解を示されたい。

五 公営企業金融公庫は、債券を発行して資金を調達し、地方公共団体の公営企業に融資を行っている。しかし、公営企業の資金は、市場公募や民間金融機関からの借入などで賄うべきであり、地方公共団体の財政的自立を考えれば公庫の融資は不必要だと考えるが、これについて政府はどのように考えるか。

六 政府は地方公共団体が財政的に自立するべきであると考えているか。そのように考えるのであれば、今後どのような施策を講じていくつもりか。

  右質問する。