質問主意書

第151回国会(常会)

質問主意書


質問第二三号

医療機関における医療行為以外のサービスの普及と向上に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十三年五月七日

海野 義孝   


       参議院議長 井上 裕 殿


   医療機関における医療行為以外のサービスの普及と向上に関する質問主意書

 近年、医療現場においては、より高度な医療技術が求められるとともに、医療機関における医療行為以外のサービスについても、患者のQOL等を確保する観点から、その充実が求められている。
 欧米では、医療機関における医療行為以外のサービスとして、例えば、大病院における受付、インフォメーション業務、ガイド係や患者の搬送業務、通訳、手話通訳、翻訳などのコミュニケーション業務、病院内のギフトショップの運営、患者用図書館係などが知られており、多くがボランティアによって支えられている。このほかにも、患者や家族の話相手、院内の散歩の付添い、小児入院患者の遊び相手、レクリエーション等の行事の企画・運営、さらには外来患者や見舞客が同伴する乳幼児のベビー・シッター、子供の世話などのサービスが提供されているという。
 これらのサービスは、医療機関が提供する医療サービスそのものではないが、医療機関を利用する患者やその家族等にとって、必要不可欠である場合も少なくない。しかしながら、医療機関における施設面の充実だけでは十分に達成できないソフトなアメニティでもあることから、我が国では、政府の施策として、これまで正面から取り組まれてきたとはいえない状況にある。
 医療機関において提供されるべき医療行為以外のサービスの在り方は、患者や家族にとっては当然のこととして、ひいては、我が国の医療機関の在り方、特に病院の質と評価を決する重要な要素であるといっても過言ではない。
 そこで、今後、我が国においても、これらのサービスの普及と向上を積極的に図るための取組が必要であるとの立場から、政府に対し、以下質問する。

一 我が国においては、医療機関における医療行為以外のサービスが、これまでどのように提供されてきたのか。また、現状はどのようになっているのか。政府の知るところを明らかにされたい。

二 我が国の医療提供体制において、医療行為以外のサービスの提供はどのように位置付けられているのか。また、医療保険制度における位置付けについても説明されたい。

三 政府は、国立病院、公立病院等の公的医療機関における、いわゆる病院ボランティアの活動実績を把握しているのか。把握しているとすれば、ボランティアを導入している医療機関の数、その割合、導入した時点と経緯及びボランティアの活動状況を明らかにされたい。また、把握していないのであれば、少なくとも公的医療機関におけるボランティアの活動状況とその課題については、実情を調査する必要があると考えるが、政府の取組を明らかにされたい。

四 旧厚生省は、平成十年度厚生科学特別研究事業として、「病院ボランティアの現状とその保健医療における役割に関する調査」を実施したと承知している。政府は、その調査結果をどのように受け止めているのか、政府の認識を明らかにされたい。

五 我が国においても、医療機関における医療行為以外のサービスについて、その普及と向上を図る必要があると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。また、我が国の保健医療における病院ボランティアの意義、役割、課題等について、政府の認識を明らかにされたい。

六 近年、我が国においても、病院ボランティアが普及しつつあるといわれているが、それでも欧米のようには一般化するには至っていない。政府は、我が国において、病院ボランティアの普及を妨げている要因をどのように分析しているのか。

七 政府の施策として、少なくとも公的医療機関においては、医療行為以外のサービスの普及と向上を図るとともに、積極的に病院ボランティアの導入を図るべきであると考えるが、政府の見解と対応を明らかにされたい。

八 例えば、外来患者等の便宜を図る観点から、同伴した乳幼児を一時、ボランティアに預けられるような託児スペースを設置することは、子育て支援の一環として、育児にやさしい社会の実現という観点からも有効ではないかと考えている。厚生労働省は、院内感染のおそれがあること等を理由にして消極的であるとも伝え聞くが、設置場所などに工夫の余地はあると思われるので、前向きに検討すべきである。政府の見解と対応を明らかにされたい。

  右質問する。