質問主意書

第151回国会(常会)

質問主意書


質問第二〇号

「核不拡散・核軍縮に関する東京フォーラム」などを踏まえた日本の核軍縮政策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十三年四月十八日

中村 敦夫   


       参議院議長 井上 裕 殿


   「核不拡散・核軍縮に関する東京フォーラム」などを踏まえた日本の核軍縮政策に関する質問主意書

 二〇〇〇年十一月二十日、国連ミレニアム総会において日本が提出した「核兵器全面廃絶への道程」決議が圧倒的多数で採択された。日本政府によるこのイニシアティブは、小渕恵三前首相のリーダーシップによって支えられた「核不拡散・核軍縮に関する東京フォーラム」(以下「東京フォーラム」という。)に続く、新たな動きと言える。
 「核兵器全面廃絶への道程」決議の前文第七節には、「東京フォーラムの報告書に、同報告書に関する加盟国の様々な見解に心を留めつつ、注目し」とあり、一九九九年七月二十五日の東京フォーラム報告書に対して各国間で様々な異なる見解があることが示されている。だが、同フォーラムを支援した肝心の日本政府の見解が、明確になっていない。
 よって、次の事項について質問する。なお、同様の文言が並ぶ場合でも、各項目ごとに平易な文章で答弁されたい。

一、以下の東京フォーラム報告書第五部「主要提言」について、それぞれ政府の見解を明らかにされたい。

1  NPTの中核的合意を再び誓約することにより、NPT体制の弱体化を阻止し、修復せよ。
2  段階的削減を通じて核兵器を廃絶せよ。
3  核実験禁止条約の発効を実現せよ。
4  STARTプロセスを再活性化させ、核兵器削減の対象を拡大せよ。
5  核についての透明性を高める措置を採用せよ。
6  全ての核兵器について即時警戒態勢を解除せよ。
7  核分裂性物質を、特にロシアにおいて管理せよ。
8  テロと大量破壊兵器に注意せよ。
9  ミサイル拡散に対する措置を強化せよ。
10 ミサイル防衛の配備は慎重にせよ。
11 南アジアにおける拡散を阻止し、巻き返しをせよ。
12 中東における大量破壊兵器を廃絶せよ。
13 朝鮮半島における核とミサイルの危険を根絶せよ。
14 拡散の支持につながる拒否権の行使は自粛せよ。
15 軍縮会議を再活性化せよ。
16 軍縮の検証措置を強化せよ。
17 核不拡散・核軍縮の違反に対して効果的な制裁メカニズムを構築せよ。

二、同報告書第四部第二十二節では、「CTBT(包括的核実験禁止条約)に署名し、批准していないすべての国に対して、緊急に署名し、批准することを求める」としている。これに関し、政府が各国にCTBTへの署名・批准を促すために行った一九九六年九月から二〇〇一年三月に至るまでの外交活動の記録を、一覧で示されたい。

三、二〇〇一年九月二十五日から二十七日にかけて、ニューヨークで第二回CTBT発効促進会議が開催される。焦点は、アメリカ議会のCTBT批准の有無である。政府として、CTBTを発効させるために、アメリカ議会へ働きかける外交活動の方針及び活動予定を明らかにされたい。

四、第二回CTBT発効促進会議までに、アメリカ以外の未署名国若しくは未批准国に対して署名・批准を促す外交活動を行うならば、その活動予定について一覧で示されたい。

五、東京フォーラム報告書第四部第二十一節には、「全ての核兵器国による核廃絶の一歩手前までの検証可能な段階的削減のプロセスは、核廃絶論者も核抑止論者も共に認めることができ」ると述べられている。
 政府は「核兵器全面廃絶への道程」決議を国連総会に提出し、東京フォーラムで表明された「核廃絶の一歩手前」よりも進んだ「全面廃絶」を主張している。一方で、政府は、核抑止論を主張している。政府は、核抑止論に立脚したままで「核廃絶の一歩手前」よりも先の「全面廃絶」を達成することが可能と考えているのか。若しくは、「一歩手前」より先の「全面廃絶」に向かうときには、核抑止論を放棄することを考えているのか。「核兵器全面廃絶」の達成と核抑止論との関係について、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。