質問主意書

第151回国会(常会)

質問主意書


質問第三号

米軍普天間飛行場における高出力電磁波事故に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十三年二月二日

照屋 寛徳   


       参議院議長 井上 裕 殿


   米軍普天間飛行場における高出力電磁波事故に関する質問主意書

 沖縄にある米軍基地は、存在そのものが「危険」である。したがって、基地で働く労働者は常に「危険」な労働環境の中で仕事に従事しているのである。
 マスコミ報道で明らかになった普天間飛行場における基地従業員の高出力電磁波事故は、改めて基地労働の「危険」と労働安全衛生・安全管理の重要性を知らしめる衝撃的な事故となった。
 マスコミ報道によると、二〇〇〇年五月八日、米軍普天間飛行場内のTACAN(電波発信施設)の屋上で作業中の基地従業員二人が高出力電磁波を浴びる事故が発生したとのことである。
 二人の基地従業員は、キャンプ瑞慶覧施設営繕課所属のMLC(基本労務契約)従業員と伝えられており、その日、TACAN周辺に塀を設置する工事に従事していたようだ。
 事故は極めて重大である。まず、TACANの危険性をあらかじめ日本人従業員に説明し、十分な安全管理の対策を取るべきであったにもかかわらずそれが実行されなかったことだ。その上に、TACAN周辺で作業をする際は電波発信の電源を切るべきであるにもかかわらず、かかる手だてを講じないで作業を命じたことである。基地従業員の生命・身体の安全に配慮を欠いたずさんな米軍の安全管理であると批判せざるを得ない。高出力電磁波を浴びた一人の者は、事故直後血小板の数が正常値を下回る発症があったとされる。電磁波による健康被害が世界中で問題になっている折に発生した今回の事故に怒りを覚えるものである。同時に、日米両政府に対し再発防止のための具体策と事故の真相を明らかにするよう強く求めるものである。
 よって、次の点について質問する。

一、政府は、いつ、どこから、どのような方法で普天間飛行場における高出力電磁波事故の発生を知らされたのか明らかにされたい。また、マスコミ報道で明らかになるまで事実を伏せていた理由を明らかにされたい。

二、二〇〇〇年五月八日に発生したとマスコミが報道している普天間飛行場における高出力電磁波事故の正確な発生日時、発生場所、被害者の職種、年齢、性別、事故の内容、事故発生の端緒を明らかにされたい。

三、米軍普天間飛行場に存在するTACANの機能、事故当時の施設の概要、事故後に同施設を取り壊したことがあるか、あるならその理由を明らかにされたい。

四、事故当時基地従業員十人がTACAN周辺の塀設置工事に従事していたようだが、同工事の工期、工事内容、工事の目的を明らかにされたい。

五、TACAN周辺の作業に従事する際、電波発信の電源を切ることになっているようだがそのとおりか。また、一月二十四日、私が防衛施設庁石井道夫労務部長に面会した折、同部長は「事故当時電源を切っていなかった」と明言したが、なぜ電源を切らないで作業に従事させたのか明らかにされたい。

六、高出力電磁波を浴びた二人の基地従業員は、何の目的で建物屋上に登ったのか明らかにされたい。

七、事故発生当時、和英両文で書かれた「警告 放射線、高圧電源につき危険」と表示された警告板は設置されていたか明らかにされたい。また、事故後に設置した事実があるか明らかにされたい。

八、事故直後に普天間飛行場所属の放射線専門医が基地従業員二人を診察したようだが、その医師の氏名、診察内容とその結果を明らかにされたい。普天間飛行場には放射線専門医が配置されているのか明らかにされたい。

九、那覇労働基準監督署が労災事故の調査の一環で基地立入調査を求めたが拒否されたとの報道がなされているが、立入調査要求の経緯と結果を明らかにされたい。

十、労働災害の疑いのある事故が発生した場合、速やかに関係機関に通報し、労働基準監督署の基地立入調査を求めるべきと考えるが、政府の考えを明らかにされたい。

十一、今度の事故について全駐労沖縄地区本部が那覇防衛施設局山崎信之郎局長に抗議要請を行った際、同局長からまるで基地従業員に落ち度があったかのような発言があったと報道されている。発言の事実と内容を明らかにされたい。

  右質問する。