質問主意書

第150回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二三号

遺伝子組換え飼料スターリンク混入問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十二年十一月三十日

櫻井 充   


       参議院議長 井上 裕 殿


   遺伝子組換え飼料スターリンク混入問題に関する質問主意書

 本年十月二十五日、国内の消費者団体が、市販トウモロコシ加工品から日本では食用・飼料用ともに未認可の上、米国でも食用としては認められていない遺伝子組換えトウモロコシ「スターリンク」を検出した、という発表を行った。また、十一月十六日、農林水産省は報道発表の中で、四月から六月にかけて採取した飼料用トウモロコシのサンプルの十五検体中十検体からスターリンクを検出したとの報告を行った。このことは、日本で安全性が確認されていない遺伝子組換え食品が市中に出回っていたことを意味するもので、現行の遺伝子組換え食品の管理体制に不備があったということができる。関係官庁は、現段階では、安全性未審査の遺伝子組換え食品の輸入や販売を行っても法に抵触することはないとの立場をとっている。しかし、今回の事件から明らかなように、食糧の多くを輸入に頼っている日本は、国外での食糧問題の影響を直接受けてしまう。その際の、日本の生産・加工・流通・販売・消費の全てにおける混乱は非常に大きなものであり、安全で安定した食糧確保を図るために、政府は万全の対策を講じなければならない。
 そこで、以下質問する。

一 スターリンクはいつから日本に混入していたのか。また、今までどれくらいの量が混入し、何に使用されたのか。加工品であれば具体的名称を答えられたい。

二 今回の事件で、特定の加工食品についてスターリンク混入の調査を行ったが、トウモロコシを使用したその他の食品に対しても調査を行うべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 国内の市民団体によりスターリンク混入が指摘されたが、市民が見つけるまで行政側でのチェック体制は機能しないのか。体制が無いのであればそれを至急整備すべきであるが、政府の見解を示されたい。

四 回収前にトウモロコシ加工品を購入した消費者が、これを食べたことで健康上の問題を起こした場合、どのように補償するのか。また、スターリンク混入トウモロコシを購入した畜産農家や加工業者の損害を補償する予定はあるか。

五 政府は、今回の事件で食品の輸出を管理していた米国政府にも責任があったと考えるか。日本政府は、本件に係る損害につき米国に賠償を請求するつもりはあるか。請求しないとすればどのような理由からか。

六 日本から米国に輸出された食糧が米国で未認可であったり、安全性未確認のものであることが判明し、米国が日本に損害賠償を求めてきた事例が過去にあったか。

七 日本の商社と米国の輸出業者の間で、検査体制の在り方について合意が行われ、日本が費用を負担することになった。どのような理由で日本側が費用を負担することになったのか。また、その必然性があったと思うか。

八 日本側から食糧(食料)を米国に輸出する場合、安全性確認と費用負担を誰がどのように行っているのか。

九 日本では、安全性未審査の遺伝子組換え作物は二〇〇一年四月から輸入・販売が禁止されるが、政府はこのような事件の再発防止に万全を期すため、具体的にどのような対策をとるのか。また、これが実施されるまでの間の対策についても併せて述べられたい。

十 日本は穀物の輸入を米国など特定の国に依存し過ぎており、このような事件が再び起これば、日本中がパニックにならないとも限らない。食糧安全保障という観点から今後食糧資源の確保の在り方をより安全で確実なものに変更していく必要性があり、その中で食糧の自給率を高めていく施策というものも検討していかなくてはならないと考えるが、これについての政府の見解を伺いたい。

十一 今後、世界貿易機関(WTO)における交渉によって、農産物の貿易の自由化を更に進めなくてはならない状況になったとき、遺伝子組換え食物問題を未然に防ぐ措置としてどのようなものを考えているか。

  右質問する。