質問主意書

第149回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一四号

内閣参質一四九第一四号

  平成十二年九月十二日

内閣総理大臣 森 喜朗   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員櫻井充君提出ブルーインパルスT4型機の墜落に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員櫻井充君提出ブルーインパルスT4型機の墜落に関する質問に対する答弁書

一、三及び四について

 航空自衛隊においては、本年三月にT-2の墜落事故が発生したことに続いて本年七月にT-4の墜落事故が発生したことを深刻に受け止め、関連規則等の改正、航空自衛隊第四航空団(以下「第四航空団」という。)所属航空機の操縦者等に対する教育、第四航空団所属航空機の点検整備等を行い、安全確保のための施策を徹底的に実施したところである。特に、牡鹿半島周辺の山岳地への墜落の危険及び女川原子力発電所の付近の上空の飛行を確実に回避し、飛行の安全を確保するため、有視界飛行方式による松島飛行場から訓練空域等への進出及び訓練空域等から同飛行場への帰投のための飛行経路及び飛行高度の見直し、このような進出又は帰投の途上にある航空機に対する松島レーダーによる監視、助言等の実施並びに学生単独機一機に対し、少なくとも一機の教官機による所要の監督指導を行い得る態勢の確保といった施策を実施したところである。また、航空幕僚監部が監察等を実施し、T-4の墜落事故を受けての右のような安全確保のための施策が確実に実施されており、安全が確保されたことを確認したところである。
 これらを受け、航空自衛隊においては、安全確保のための施策を確実に実施したこと等について、関係地方公共団体等に説明した上で、本年八月三十日以降、第四航空団所属航空機の飛行を再開したところである。

二について

 お尋ねの「松島基地航空自衛隊が訓練飛行する空路図」が何を指すのか明らかではないが、一、三及び四についてで述べた、見直し後の有視界飛行方式による訓練空域等への進出及び帰投のための飛行経路は、別紙のとおりである。
 また、自衛隊の航空機が市街地等に墜落した場合の被害については、墜落の態様等にもよるので、これを具体的に予測することは困難であるが、いずれにせよ、自衛隊においては、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)の最低安全高度に関する規定等を遵守し、安全に配慮しつつ、市街地等の上空を極力避けた飛行経路により、飛行訓練を行っているところであり、今後とも飛行の安全の確保に最大限の努力を傾注してまいりたい。

五について

 先の答弁書(平成十二年八月八日内閣参質一四八第七号)四についてで述べたとおり、航空自衛隊が訓練を行うこととしている空域は女川原子力発電所から離れていること、自衛隊の航空機は、原則として、原子力発電所の付近の上空は飛行しないこととしていること及び原子力発電所上部に灯火を設置して視認性を向上させていることから、同発電所に自衛隊の航空機が墜落する可能性は極めて小さいと判断している。

六について

 五についてで述べた理由に加え、自衛隊においては、航空機操縦者の健康管理に万全を期しているところであるので、女川原子力発電所に自衛隊の航空機が墜落する可能性は極めて小さいと判断している。

七について

 女川原子力発電所の上部からの衝撃に対する耐性は、衝突物の重量、速度及び構造、衝突角度、衝突箇所等によって異なるため、同発電所が上部からの衝撃に対してどの程度耐えられる構造になっているかについては、一概には言えない。
 また、五についてで述べたとおり、女川原子力発電所に自衛隊の航空機が墜落する可能性は極めて小さいと判断しているので、同発電所が自衛隊の航空機の墜落に対してどの程度耐えられる構造になっているかについては、評価していない。なお、米国においても、原子力発電所に航空機が墜落する可能性が極めて小さければ、原子力発電所の設計上これを考慮する必要はないこととなっていると承知している。
 我が国の原子力発電所については、有事を想定し、どの程度の攻撃であれば耐え得るかという観点からの評価は行っていない。基本的には、そのような事態に至らぬよう、外交上のものを含むあらゆる努力を傾注することが重要であると認識している。

別紙 有視界飛行方式による進出経路