質問主意書

第149回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一三号

内閣参質一四九第一三号

  平成十二年九月十二日

内閣総理大臣 森 喜朗   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員大脇雅子君提出JRによる不当労働行為に対する救済命令の実効性確保に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員大脇雅子君提出JRによる不当労働行為に対する救済命令の実効性確保に関する質問に対する答弁書

一について

 労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)第二十七条第四項に基づく地方労働委員会の救済命令については、その交付の日から効力を生ずることとされるとともに、同条第九項の規定に基づき救済命令が確定した場合に使用者がこれを履行しなければ、同法第三十二条に基づき過料に処せられ、また、確定判決によって救済命令が支持された場合に使用者がこれを履行しなければ、同法第二十八条に基づき禁錮又は罰金の刑に処せられる。
 しかしながら、救済命令については、使用者は中央労働委員会に再審査の申立てをし、又は救済命令の取消しの訴えを裁判所に提起することができ、こうした再審査の申立てがなされ、又は救済命令の取消しの訴えが提起されて、当該救済命令が確定しない間は、同法第二十七条第八項の規定により裁判所が当該救済命令の取消しの訴えを提起した使用者に対し当該救済命令の全部又は一部に従うべき旨を命ずるいわゆる緊急命令を発した場合を除き、使用者は刑罰又は行政罰により当該救済命令の履行を強制されることはない。

二について

 資本の額が五億円以上又は最終の貸借対照表の負債の部に計上した金額の合計額が二百億円以上の株式会社については、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(昭和四十九年法律第二十二号)第十四条第三項第三号に基づき、監査報告書には、取締役の職務遂行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があるときはその事実を記載すべきものとされ、また、同法第三十条第一項第五号に基づき、監査報告書に記載すべき事項を記載せず、又は虚偽の記載をしたときは過料に処することとされている。
 ある事実が同法第十四条第三項第三号の事実に該当するか否かは、株主及び債権者に対して監査事項についての情報を開示するという監査報告書作成の趣旨にかんがみ、事案に応じて個別具体的に判断されるべきものであるが、御指摘の事案について東日本旅客鉄道株式会社が監査報告書に記載しなかったことについては、同法第三十条第一項第五号に明らかに該当するというものではないと考えられる。
 また、御指摘のような株主総会における取締役の発言は、法律解釈に関する一つの見解を述べたものであって、一般に、商法(明治三十二年法律第四十八号)第四百九十八条第一項第五号の「不実ノ申述」に該当しないものと考えられる。
 したがって、現時点においてお尋ねの措置を採ることは考えていない。