質問主意書

第149回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一一号

内閣参質一四九第一一号

  平成十二年九月十九日

内閣総理大臣 森 喜朗   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員小川勝也君提出住宅用火災警報器の制度化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員小川勝也君提出住宅用火災警報器の制度化に関する質問に対する答弁書

一について

 我が国における過去五年間の住宅火災(放火火災を除く。)の発生件数等については、別紙のとおりである。

二について

 住宅用火災警報器は、火災による熱や煙を感知して警報を発するので、火災の発生を早期に知り消火や避難などを速やかに行う上で有効であり、したがって、逃げ遅れによる死者の発生を減少させる効果があるものと考えている。
 現在、アメリカ合衆国においては、住宅用火災警報器について、相当数の州で、各州ごとに規制内容は異なるものの何らかの形で設置の義務付けが行われているものと承知している。また、米国防火協会の年次調査によれば、住宅火災による死者は、千九百七十七年からの二十一年間で約四十五パーセント減少しているとされている。なお、アメリカ合衆国におけるこの死者の減少の理由としては、喫煙者の大幅な減少や難燃化されたマットレス等の普及などと併せて、火災警報器の設置の推進があったものと考えられている。
 我が国においては、火災の発生防止や、消火、避難などの対策も含めて総合的に住宅防火対策を推進しているが、住宅用火災警報器の設置の義務付けについては、アメリカ合衆国等諸外国の動向も参考にしつつ、国民に対する規制強化につながることをも十分に認識しながら、今後とも課題の一つとして検討してまいる所存である。

三について

 住宅用防災機器等の開発・普及については、防火意識の高揚、住宅防火診断の実施とともに、住宅防火対策の重要な柱の一つとして積極的に取り組んでいる。
 具体的には、住宅用火災警報器、住宅用スプリンクラー、燃えにくいカーテン等の性能及び効果についての基礎的研究を消防研究所において行う一方、住宅用防災機器等の品目ごとに、構造・性能等に係るガイドラインを示し、各消防防災機器メーカー等に開発を奨励している。さらに、全国の市町村や消防機関に対して、住宅用防災機器等の普及促進を図るよう指導している。
 また、住宅金融公庫においては、新築住宅の建設資金等の融資について、借入者が住宅用火災警報器、住宅用スプリンクラー等を設置する場合に融資額を増額している。さらに、住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成十一年法律第八十一号)に基づく住宅性能表示制度において、住宅用火災警報器等の設置に関する評価及び表示の方法を定めている。
 今後とも、住宅用防災機器等の研究・開発を促進するとともに、その普及に努めてまいる所存である。

別紙 我が国における過去五年間の住宅火災(放火火災を除く。)の発生件数等