質問主意書

第149回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第八号

内閣参質一四九第八号

  平成十二年九月八日

内閣総理大臣臨時代理             
国務大臣 中川 秀直   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員田英夫君提出北富士演習場の管理権が米軍から自衛隊に転換した後に防衛施設庁が山梨県などに支払った約五〇〇億円の土地賃借料・使用料に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員田英夫君提出北富士演習場の管理権が米軍から自衛隊に転換した後に防衛施設庁が山梨県などに支払った約五〇〇億円の土地賃借料・使用料に関する質問に対する答弁書

一、二及び四について

 北富士演習場を含む自衛隊施設における民公有地の賃借料の決定に際しては、駐留軍ノ用ニ供スル土地等ノ損失補償等要綱(昭和二十七年七月四日閣議了解)に基づく土地建物等賃借料算定基準(昭和二十七年調達規第十五号。以下「賃借料算定基準」という。)に準じ、土地の価格に利回りを乗じて算定した額を基準にしている。なお、賃借料算定基準は、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の用に供する施設(以下「駐留軍施設」という。)における民公有地の賃借料算定について適用するものであるが、北富士演習場を含む自衛隊施設は駐留軍施設から使用転換されたものが多いこと等から、自衛隊施設における民公有地の賃借料算定についてこれを準用しているものである。
 北富士演習場における山梨県行政財産の使用料については、山梨県において、山梨県行政財産使用料条例(昭和三十九年山梨県条例第十五号)に基づき算定されているものと承知している。

三について

 一、二及び四についてで述べたとおり、防衛施設庁においては、北富士演習場における山梨県普通財産の賃借料は、賃借料算定基準に準じて適正に算定した額を基に、関係地方公共団体、土地所有者等で構成される北富士演習場対策協議会との間で協議の上決定しているものであり、予算決算及び会計令(昭和二十二年勅令第百六十五号)第九十九条の五により準用される第八十条第二項に違反していないと考えている。また、かかる賃借料は適正なものであって、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百三十七条第二項違反の問題が生ずることはないと考えている。

五について

 平成十年に防衛庁が山梨県等との間で締結した北富士演習場使用協定においては、北富士演習場を自衛隊等が使用する場合の使用条件として、「実弾射撃訓練のために設定される弾着区域は、原則として国有地内に設定されるものとする」ことが定められており、同協定は現在でも効力を有している。
 また、北富士演習場が使用転換された後平成九年までの間に、国有地外の土地に弾着区域を決定したことはない。

六について

 これまでに、御指摘の規則第二十九条第三項に従って県有地等立入申請書が北富士駐屯地業務隊長に提出された事実はあり、県有地等立入申請書及び許可証の写しを例示すれば、別紙一及び別紙二のとおりである。

七について

 これまでに、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)第四十条に従って防衛庁及び防衛施設庁が環境庁長官と協議した事実はあり、これを示す文書を例示すれば、別紙三及び別紙四のとおりである。

八について

 北富士駐屯地業務隊長が県有地等への立入りを許可するに際しては、原則として、土地の形状を変更しないこと、樹木を伐採しないこと等を条件としており、また、これまで、自然公園法第四十条に従って防衛庁等が環境庁長官と協議した事実はあるが、これらはいずれも訓練に伴う一定の行為に関して行ったものではなく、林木及び林地を損なうような訓練を行ったことはない。
 また、これまで、林地等を損傷したことにより、山梨県等から損害賠償を請求された事実はない。

九及び一一について

 陸上自衛隊においては、北富士演習場における民公有地においても、通信、偵察等の訓練を行っている。また、陸上自衛隊等が演習場内において実弾射撃訓練を円滑に実施するためには、弾着区域を含む一定の地域への人員、車両等の立入りを禁止することによって射撃の安全を確保することが必要であり、また、射撃陣地及び弾着区域の周辺に緩衝地域となる用地をできる限り確保しておくことによって射撃による演習場周辺地域への騒音の影響を緩和することも必要である。したがって、防衛庁においては、北富士演習場における民公有地を確保しておくことは必要であると考えている。
 なお、北富士演習場における民公有地の賃借料及び使用料については、三についてで述べたとおり、適正なものと考えている。

一〇について

 御指摘の山中浅間神社の所有地については、射撃による演習場周辺地域への騒音の影響を緩和するために、緩衝地域として確保しているものである。
 なお、当該土地について、地元において合意形成が行われ、具体的に返還要請がなされた場合には、実弾射撃訓練に及ぼす影響を踏まえ、所要の検討を行ってまいりたい。

別紙一 1/2

別紙一 2/2

別紙二

別紙三 1/2

別紙三 2/2

別紙四 1/3

別紙四 2/3

別紙四 3/3