質問主意書

第147回国会(常会)

答弁書


答弁書第四六号

内閣参質一四七第四六号

  平成十二年六月二十日

内閣総理大臣 森 喜朗   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員但馬久美君提出芸術・文化の育成に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員但馬久美君提出芸術・文化の育成に関する質問に対する答弁書

一及び三について

 心豊かな活力ある社会を形成する上で、文化は重要な役割を果たしてきており、当該文化の振興を図るため、文化発信の基盤として国立博物館・美術館などの国立文化施設の運営及び拡充等の整備を行うとともに、我が国の芸術文化の水準を高めるために芸術創造活動を行う団体及び芸術家個人への支援、子供たちの文化活動、子供たちへの芸術鑑賞の機会の充実等いわゆるソフト面における文化振興のための施策の充実に努めてきているところである。
 御指摘のように、近年、芸術文化の振興に係る予算の多くが国立美術館等の国立文化施設の整備及び運営に係る予算となっているが、内容的には、国立文化施設における公演や展示等芸術文化活動に係る経費も含まれているところである。さらに、我が国の芸術文化の水準を高めるために芸術創造活動を行う団体及び芸術家個人への直接的支援等の充実に必要な予算を確保してきているところである。芸術文化の振興を効果的に推進していくためには、その時々の社会の要請に応えるとともに、中長期的な視点に立って、我が国の芸術文化の向上を図る観点から、いわゆるハード及びソフト両面の施策を総合的に考慮して実施していくことが必要であり、今後とも、この観点から、必要な予算の確保に努めてまいりたい。

二について

 伝統文化は、我が国の歴史、文化等の正しい理解のため欠くことのできないものであり、また、将来の文化の向上発展の基礎をなすものであることから、国、地方公共団体、伝統文化を担う者等がそれぞれの役割に応じ当該伝統文化の継承及び発展に努めるべきであると考える。
 伝統文化については、御指摘のように、時代により消長があるが、その消長にかかわらず後世に引き継ぐべき文化として、その保存及び活用を適切に行うという観点から、政府は、文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第五十六条の三第一項及び第二項の規定等に基づき、演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で我が国にとって歴史上又は芸術上価値の高いもののうち重要なものを重要無形文化財に指定するとともにその保持者・保持団体として認定された者及び団体に対し助成金を交付する等により、当該重要無形文化財の保存及び活用を図っている。また、日本芸術文化振興会法(昭和四十一年法律第八十八号)に基づき設立された日本芸術文化振興会は、国立劇場の設置、同劇場における歌舞伎、文楽、能楽等の伝統芸能の公開、当該伝統芸能の伝承者の養成等を行っているところである。

四及び五について

 御指摘のように、芸術活動の担い手として団体と共に芸術家個人も重要な役割を果たしている。このため、芸術家個人の行う芸術活動への支援として、日本芸術文化振興会法第二十九条の二の規定に基づき日本芸術文化振興会に設立された芸術文化振興基金により、芸術家個人の展覧会等の会場費の助成を始め、当該芸術家個人の行う芸術創造・普及活動等に対する助成を、平成二年度から行っているところである。

六について

 芸術文化の振興に必要な経費の財源については、一般税収等の中で確保しているところであるが、御指摘の入場料に係る消費税の収入見込額に相当する金額を芸術文化の振興に必要な経費に充てるべきとの考え方については、財政の一般論として、税収の使途を特定の経費に限定することは、資源の適正な配分をゆがめ、財政を硬直化させる傾向を持つ等の問題点が指摘されていること等から、困難であると考える。

七について

 御指摘のアートマネージメントについては、芸術創造活動を支える上で重要な役割を果たすものであり、従来から、芸術団体や公立文化施設の管理運営等に従事する者に対して海外派遣や国内研修を行うことなどを通じてアートマネージメントの充実を図っているところであり、今後とも、必要な施策の充実に努めてまいりたい。