質問主意書

第147回国会(常会)

答弁書


答弁書第四五号

内閣参質一四七第四五号

  平成十二年六月三十日

内閣総理大臣 森 喜朗   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員平田健二君提出中山間地農林業に対する所得政策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員平田健二君提出中山間地農林業に対する所得政策に関する質問に対する答弁書

一について

 中山間地域等直接支払交付金(以下「直接支払交付金」という。)は、食料・農業・農村基本法(平成十一年法律第百六号)第三十五条第二項の趣旨を踏まえ、農業の生産条件が不利な中山間地域等において適切な農業生産活動が継続的に行われるよう、その不利を補正するための支援を行うことにより、中山間地域等が有する多面的機能の確保を特に図るための施策として講ずるものである。このため、直接支払交付金の交付単価については、対象地域とそれ以外の地域との生産条件の格差の範囲内に設定しており、現行の交付単価は適切であると考える。
 また、交付単価を生産条件の格差の八割相当額に設定したのは、対象地域における生産性向上意欲への影響を考慮する等の観点からである。

二について

 一についてで述べたとおり、直接支払交付金は、中山間地域等において適切な農業生産活動が継続的に行われるための施策として講ずるものである。
 お尋ねの林業に対する直接支払制度の導入については、造林、間伐等の林業生産活動に対しては個人を対象に森林の公益的機能に着目した助成措置が既に講じられていること等から、森林・林業の実態、既存施策との関係等を十分に踏まえて、その必要性も含め、総合的な観点から検討していく必要があると考えている。

三について

 直接支払交付金は、将来にわたって適切な農業生産活動が継続的に行われることにより、中山間地域等が有する多面的機能を確保する観点から講じられる施策である。したがって、直接支払交付金は、農業以外の用途への転用が禁止され、将来的にも農用地として利用されるべきものとして位置付けられている農用地を対象とすることが適当と考えられ、そのような位置付けがされている農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)第八条第二項第一号に定める農用地区域内の農用地を対象としているところである。
 また、一についてで述べたとおり、直接支払交付金は、中山間地域等における農業の生産条件に関する不利を補正するものであり、全農用地を対象とすることは困難である。