質問主意書

第147回国会(常会)

答弁書


答弁書第三七号

内閣参質一四七第三七号

  平成十二年六月二十日

内閣総理大臣 森 喜朗   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員平田健二君提出精神障害者施策の拡充に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員平田健二君提出精神障害者施策の拡充に関する質問に対する答弁書

一について

 精神障害者保健福祉手帳は、その交付を受けた者に対して各方面の協力により各種の支援策が講じられることを促進し、精神障害者の社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進を図ることを目的としており、その交付を受けた者に対して、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)上の障害者控除等の優遇措置が講じられているところである。
 精神障害者保健福祉手帳については、平成十四年度から交付申請の窓口を保健所から市町村に移し、精神障害者にとって身近な行政機関で取得できるようにすることを通じて、一層の普及を図っていく考えである。

二について

 旅客鉄道会社(旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和六十一年法律第八十八号)第一条第一項に規定する旅客会社をいう。以下同じ。)の運賃の割引については、昭和六十年七月二十六日付けの日本国有鉄道再建監理委員会の「国鉄改革に関する意見」(以下「意見」という。)において、「仮に一定の政策事由がある場合であっても、所要の措置なく、旅客鉄道会社に対し現在の私鉄を上回って当該会社の負担による運賃割引を求めることは適当でない。」とされ、「国鉄改革のための基本的方針について」(昭和六十年十月十一日閣議決定)において、「旅客鉄道会社の自主的判断により決定されることを原則としつつ、「意見」の趣旨に沿って、所要の措置を講じることとする。」とされているところである。
 旅客鉄道会社の精神障害者に対する運賃割引は、基本的に各旅客鉄道会社の自主的な判断により決定されるべきものであると考えている。
 また、日本放送協会(以下「協会」という。)の受信料については、放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第三十二条第二項において、協会はあらかじめ郵政大臣の認可を受けた基準によるのでなければ免除してはならないとされており、政府としては、受信料免除措置の必要性、これに伴う減収の見通し等を踏まえた協会の判断を待つこととし、当該基準の変更の認可申請があった場合に、その適否を判断することとなる。受信料免除措置は、その見直しを求めた衆議院逓信委員会等の附帯決議を踏まえて、昭和五十三年以降、関係機関の理解を得つつ、逐次廃止されてきたところであり、協会によれば、「個人に対する現行の受信料免除は継続するが、施設に対する受信料免除は関係機関の理解を得つつ、今後、段階的に廃止していきたいと考えている。その上で、精神障害者に対する受信料免除の適用については、今後の全体的な受信料免除の在り方と併せ、総合的かつ慎重に検討していきたい。」とのことであり、精神障害者に対する受信料免除に係る協会のこの方針は妥当なものと考えている。

三について

 身体障害者に対する公共交通機関の運賃の割引措置は、各運輸事業者の自主的な判断に基づいて行われているものであり、当該措置に要する費用は、現在のところ、各運輸事業者の運賃収入により賄われることが適当であると考えている。
 また、現行の身体障害者個人に対する協会の受信料免除に係る負担は、協会としての社会的使命にかんがみ、協会において行われることが適当であると考えている。一方、身体障害者更生援護施設等の施設に係る受信料については、毎年、協会から関係機関に対し財源措置の要望が行われており、当該要望を踏まえて、今後とも、施設に対する受信料免除の在り方について検討していく考えである。