質問主意書

第147回国会(常会)

答弁書


答弁書第三六号

内閣参質一四七第三六号

  平成十二年六月二日

内閣総理大臣 森 喜朗   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員平田健二君提出無年金障害者を始めとする年金受給権問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員平田健二君提出無年金障害者を始めとする年金受給権問題に関する質問に対する答弁書

一について

 障害者であって、障害基礎年金等の障害を支給事由とする公的年金の支給要件である障害の程度にあるにもかかわらず、当該公的年金の受給権を有しないもの(以下「無年金障害者」という。)の問題については、今後とも幅広い観点からの検討が必要であるが、次のような問題があると認識している。

1 年金制度において対応することについては、年金制度は、制度に加入し、かつ、保険料の納付について一定の要件を満たしている者に対して老齢、障害等の保険事故が発生した場合に給付を行ういわゆる社会保険方式を採っており、保険料を納付しなかったために無年金障害者となった者に対し保険料を納付した者と同様に給付を行うこととした場合には、保険料を納付した者との間の公平を阻害するとともに、加入者の保険料納付意欲を損ない、制度の存立基盤を危うくするおそれがある等の問題がある。
2 福祉的措置により対応することについては、すべての無年金障害者を救済するため新たな手当を創設する場合には、年金制度において保険料を納付する意欲を阻害することとなること、障害者福祉施策は、公費により、障害の内容等に応じて訪問介護員の派遣等の福祉サービスを提供することや特に重度の障害にある者の負担を軽減するための特別障害者手当を給付することを基本としており、無年金に着目した施策を講ずることは、他の障害者との間との公平の観点から問題があること、巨額の財源確保が必要となること等の問題がある。

二について

 被保険者の支払う保険料等により受給者への給付に要する費用を賄っている国民年金制度を安定的に運営し、現在及び将来の受給者への年金の支給を確実なものとするためには、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が二十五年以上という老齢基礎年金の支給要件は、維持することが適当であり、この期間を短縮することについては、加入者の保険料納付意欲を阻害し、保険料収入の減少につながり、年金制度自体の崩壊につながるおそれがあることから、慎重な取扱いを要する問題であると考えている。
 なお、我が国の公的年金制度においては、国民全員が二十歳から五十九歳までの四十年間必ず加入することとされているところであり、また、所得が低い場合の保険料免除制度、六十歳以降の任意加入制度等を設け、老齢基礎年金の支給要件を満たすことができるよう、最大限の配慮を行っているところである。