質問主意書

第147回国会(常会)

答弁書


答弁書第三四号

内閣参質一四七第三四号

  平成十二年六月二十日

内閣総理大臣 森 喜朗   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員照屋寛徳君提出「衆議院議員伊藤茂君提出北富士演習場地区に係わる林野雑産物損失補償金の支出に関する質問に対する答弁書」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員照屋寛徳君提出「衆議院議員伊藤茂君提出北富士演習場地区に係わる林野雑産物損失補償金の支出に関する質問に対する答弁書」に関する質問に対する答弁書

一の1及び2について

 北富士演習場の林野雑産物補償に係る農業経営の実態を把握するための調査(以下「実態調査」という。)の担当部署は、横浜防衛施設局施設部施設補償第二課である。現在、実態調査は、三年ごとに実施しており、そのうち、現地調査については、一日当たりおおむね三名ないし六名程度の人数により、三十日ないし五十日程度の期間で実施している。

一の3及び4について

 北富士演習場に係る実態調査は、最近では平成十一年度に実施しており、そのうち、現地調査については、一日当たり三名ないし六名の人数により、平成十一年十月四日から同年十一月十二日までの日程で実施した。

一の5及び6について

 北富士演習場に係る実態調査は、各入会組合長を通じ、林野雑産物補償の申請を予定している者に林野雑産物補償関係実態調査票(以下「実態調査票」という。)を配布し、田畑、山林等の経営耕地面積、家畜(牛馬)の飼育状況、粗だ使用施設の状況、家族構成等について記載してもらい、その提出を得て、当該提出者について現地調査を行うとの方法により実施している。
 現地調査においては、横浜防衛施設局の職員が、実態調査票提出者の住宅に戸別に赴き、田畑の耕地面積、牛馬の飼育頭数、かまど等の粗だ使用施設の台数、同居の家族状況及び人数、演習場以外の採取地の面積等について、聴取し又は目視することにより確認している。また、田畑の耕地面積、同居の家族状況及び人数並びに演習場以外の採取地の面積については、公的な資料により補完的に確認している。
 平成十一年度における実態調査についても、右のとおり実施したが、その調査結果については、現在、集計作業中である。

一の7について

 平成八年度に行った実態調査の結果、平成九年度における林野雑産物補償の申請者二千六百二十八人のうち補償金の支払対象から外れた人数は、千八百四十八人である。

一の8について

 北富士演習場に係る実態調査は、一の1及び2についてで述べたとおり、現在、三年ごとに実施しており、御質問の時期におおむね相当する昭和五十三年度、昭和六十二年度及び平成八年度の実態調査の結果は、別表のとおりである。実態調査票の提出者数が増えていることから農業経営を行っている者の人数及び粗だ使用施設保有台数は増えているものの、耕地面積、牛馬飼育頭数については、昭和六十二年度の調査をピークに減少を示している。

二の1について

 野草については、当初から、水田の堆肥に限らず、畑の堆肥、牛馬飼育時の飼料及び敷料として採取する農業経営上の必要性があると認められたことから林野雑産物補償の対象種目としているものであり、北富士演習場については、現在においても、野草を水田や畑の肥料として、また、牛馬の飼料や敷料として、引き続き採取する農業経営上の必要性が存続していると認められることから、補償を行っているものである。

二の2について

 平成二年度に比し平成九年度に係る補償額が増加していることについては、補償額算定の基礎となる補償対象者の耕地面積が四百六十ヘクタールから五百五十二ヘクタールに増加したこと、野草の補償単価が一キログラム当たり約七円から約九円に上昇したこと、薬草、山菜について補償の対象者としての要件を備えている者が確認され平成七年度から補償金支払対象となったこと等によるものである。

二の3について

 御質問の牛馬の飼育頭数等は、別表のとおりである。

三の1について

 北富士演習場に係る実態調査については、一の5及び6についてで述べたとおり、実態調査票に田畑、山林等の経営耕地面積、家畜(牛馬)の飼育状況、粗だ使用施設の状況、家族構成等について記載してもらうことから始まるが、記載に当たっては、それが補償額算定の基礎となるものであることから、実態を正確に記載してもらう必要があるため、横浜防衛施設局において、実態調査票に「この調査票に記入された事柄を他に漏らしたり、目的以外に使用することは有りません。」と明記しているものである。

三の2及び3について

 北富士演習場に係る林野雑産物補償については、その円満なる処理を図るとの観点から、関係地方公共団体、関係入会組合等の代表者によって構成される北富士演習場対策協議会と協議の上、申請者の代理人である各入会組合長から更に復代理人として選任された同協議会会長と横浜防衛施設局長とが林野関係雑産物の損失補償契約を締結することにより処理している。また、同演習場を自衛隊等が使用することに関して、同協議会会長等と防衛庁長官との間で北富士演習場使用協定を締結している。このような方式を採ることによって、林野雑産物補償が円滑に行われ、このことが、ひいては自衛隊等による同演習場の安定的使用に大きく寄与している。
 また、林野雑産物補償に係る実態調査によって得られた資料については、地元の入会組合長から横浜防衛施設局長に対し、当該資料の取扱いについては特に慎重を期すよう申入れがなされているところであり、政府としては、地元関係者との信頼関係を維持するため、従来から、その意思を尊重してきている。
 このようなことから、公にしないとの条件の下で提供された個人別資料を地元関係者の同意を得ることなく公表することとした場合には、地元関係者との信頼関係が損なわれ、国との契約や協定の締結に関して地元に混乱を生じさせ、ひいては北富士演習場の安定的使用を損なうおそれがあると考えているものである。

三の4の(一)について

 実態調査票には、経営耕地面積等個人の秘密に当たる事項が記載されており、実態調査票に記入された事柄を他に漏らしたり、目的以外に使用することはない旨の条件を付して提供を受けたものであるからである。

三の4の(二)から(四)までについて

 政府としては、国会における予算の審議等に当たっては最大限資料の提供に努めてきているところである。一方、御質問の個人別資料については、公にしないとの条件の下で提供されたものであり、当該資料を公表することとした場合には、三の2及び3についてで述べたとおり、地元関係者との信頼関係が損なわれ、国との契約や協定の締結に関して地元に混乱を生じさせ、ひいては北富士演習場の安定的使用を損なうおそれがあるとの具体的な理由をもって、公表については差し控えるべきであると考えているものであり、このような場合に資料の公表を差し控えることはやむを得ないものと考えている。
 なお、北富士演習場について、現在においても林野雑産物を採取する農業経営上の必要性が存続していると認められることについては先の答弁書(平成十二年四月四日内閣衆質一四七第七号)において述べたとおりである。

別表 実態調査結果集計表