第147回国会(常会)
答弁書第一七号
内閣参質一四七第一七号 平成十二年三月二十四日 内閣総理大臣 小渕 恵三
参議院議員照屋寛徳君提出米国原子力軍艦のホワイト・ビーチ地区への寄港に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員照屋寛徳君提出米国原子力軍艦のホワイト・ビーチ地区への寄港に関する質問に対する答弁書 一について アメリカ合衆国(以下「米国」という。)原子力軍艦(以下「原子力軍艦」という。)がホワイト・ビーチ地区を含め我が国に寄港するに際しては、千九百六十四年八月二十四日の外国の港における合衆国原子力軍艦の運航に関する合衆国政府の声明(以下「声明」という。)に基づき、米国海軍は、外務省に対し、通常、入港の少なくとも二十四時間前に、その原子力軍艦の寄港地、入港予定時刻及び停泊又は投びょうの予定位置等について通報を行っている。外務省は、米国海軍の通報を受け、警察庁、防衛庁、科学技術庁、海上保安庁及び沖縄県等の寄港地の所在する地方公共団体(以下「関係地方公共団体」という。)に米国海軍の通報内容につき連絡を行っている。 二について 昭和四十七年五月十五日から平成十二年二月末日までにホワイト・ビーチ地区に寄港した原子力軍艦の寄港年月日、艦船名等については、別表のとおりである。 三について 原子力軍艦がホワイト・ビーチ地区を含め我が国に寄港する際の放射能調査については、科学技術庁が昭和四十三年九月五日に策定し、累次にわたり改正を行っている原子力軍艦放射能調査指針大綱に基づき、科学技術庁、海上保安庁及び関係地方公共団体が緊密な連携の下に実施している。
(1) 放射線監視装置により、港内の空中及び海中の放射線レベルの常時観測を実施
また、これらの放射能調査の結果については、科学技術庁から現地に派遣された者が原子力軍艦の入港前、入港日、寄港時及び出港日のそれぞれにつき「放射能調査結果」として取りまとめ、科学技術庁及び関係地方公共団体において、報道機関等に対し公表している。 四について 我が国に寄港した原子力軍艦から放射能放出事故が発生した場合を想定した災害対策マニュアルは策定していない。しかしながら、このような場合を想定した緊急連絡網が整備されており、緊急時には、在日米国大使館が外務省に対し通報し、これを受けて、外務省が関係地方公共団体を含め国内関係当局に対し連絡すること等とされている。米国政府は、事故の発生により航行不能となった原子力軍艦を安全な状態とする責任を負う旨声明において明らかにしており、我が国政府は、米国政府に対し、適切な措置を講ずるよう要請することとなる。また、政府としては、住民の安全を確保するため、必要に応じ、原子力災害発生時の対処要領を定めた「原子力災害発生時において内閣官房の行うべき措置について」及び防災基本計画における原子力災害対策編に準じて所要の対策を講ずることとなる。
五について 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)及びその関連取極により、米国は、我が国の安全並びに極東における国際の平和及び安全のために我が国の施設及び区域を使用することを認められており、我が国政府としては、米国政府に対し、原子力軍艦の我が国寄港を中止するよう求める考えはない。
六について 艦船によるものを含め米国軍隊による核の持込みが行われる場合は、米国軍隊の装備における重要な変更を事前協議の対象とする日米安保条約第六条の実施に関する交換公文の規定及びいわゆる藤山・マッカーサー口頭了解から、すべて事前協議の対象となるということは明らかである。
別表 米国原子力軍艦の沖縄ホワイト・ビーチ地区への寄港実績 1/5 別表 米国原子力軍艦の沖縄ホワイト・ビーチ地区への寄港実績 2/5 別表 米国原子力軍艦の沖縄ホワイト・ビーチ地区への寄港実績 3/5 |