質問主意書

第147回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五号

内閣参質一四七第一五号

  平成十二年三月二十八日

内閣総理大臣 小渕 恵三   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員立木洋君外一名提出米海軍LCAC基地に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員立木洋君外一名提出米海軍LCAC基地に関する質問に対する答弁書

一の1について

 御指摘の要請の時期は、平成八年五月である。

一の2について

 エアクッション型揚陸艇(以下「LCAC」という。)の施設の整備目的については、我が国に駐留するアメリカ合衆国軍隊(以下「米軍」という。)から、佐世保に配備されている米軍揚陸艦に搭載するLCACを支援するためには、現在の崎辺海軍補助施設の駐機場は狭あいであり、また、整備工場等の施設がないことから、新たに整備工場、駐機場等の整備が必要であるとの説明を受けているところである。
 また、政府としても、崎辺海軍補助施設における現状を考えると、LCACの施設の整備は必要であると認識している。

一の3について

 御指摘の平成十一年五月の「艦隊支援に関する会議」の内容については承知していない。
 平成八年五月の米軍からの要請を踏まえ、LCACの施設の整備候補地については、平成九年度において、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二条1に基づき我が国がアメリカ合衆国に提供している施設及び区域(以下「施設及び区域」という。)のうち佐世保港に所在する五か所を対象に、騒音の影響、航路との関係等について、調査を行ったが、その結果は、別表のとおりであり、横瀬貯油所が比較的騒音の影響が小さく、通行船舶が少ないこと等により、最有力地と判断した。
 このため、更に同貯油所が所要のLCACの施設の整備に適しているか否かを最終的に判断することとし、平成十年十一月から平成十一年五月までの間、同貯油所及びその周辺海域において騒音予測、ボーリング調査等を実施し、その結果を踏まえ、同年七月、同貯油所がLCACの施設の整備適地であると判断したところである。

一の4及び5について

 政府としては、御指摘の報告書は入手していない。また、LCACの施設の整備の完了時期について、米軍から早期完了の要望はあるが、具体的な時期を示しての申入れや要望はない。
 LCACの施設については、米軍から整備工場、管理棟、洗機場、駐機場、試運転場等の整備の要望があり、政府としては、施設整備の詳細については、今後、米軍と調整して決定することとしている。

一の6について

 アメリカ合衆国外におけるアメリカ合衆国軍隊のLCACの施設は、我が国以外にはなく、また、横瀬貯油所の一部にLCACの専用施設が建設されるとすれば、それは、アメリカ合衆国外でアメリカ合衆国軍隊のLCACの専用施設が建設される初めてのものであると承知している。

二の1について

 横瀬貯油所内におけるLCAC施設の整備等に関する協定書(以下「協定書」という。)を西海町長との間で作成するに際しては、福岡防衛施設局において、平成十一年十一月から平成十二年一月までの間、佐世保港にある米海軍等に対し、西海町からの要望事項について、理解を得るべく累次説明したところであり、現在も、米軍と調整を進めているところである。

二の2及び3について

 LCACの施設の計画面積については、平成十一年七月に西海町に示した当初計画から埋立面積及び陸上の造成面積をそれぞれ一ヘクタール以上、合計二ヘクタール以上を縮小することとしているが、施設整備の詳細について、現在、米軍と調整を進めており、当初計画を変更する点、工事費等について現時点でお答えすることはできない。

二の4について

 政府としては、御指摘の特定防衛施設関連市町村への指定について、その要件が満たされた場合には、指定することとしており、その旨西海町に対しても説明しているところである。

二の5について

 協定書では、LCACの隻数を変更する場合には、福岡防衛施設局長において西海町長と協議することとされているが、このことについては、米軍に対し説明しており、米軍も、LCACの隻数を変更しようとする場合には、福岡防衛施設局長に相談するとしている。

三の1について

 現時点において、崎辺海軍補助施設のLCACの駐機場の整備について米軍から要望は受けていない。

三の2について

 LCACの運用については、上限速度(約二十ノット)及び航行経路の設定、夜間及び早朝の航行を行わないこと等について、現在、米軍と調整を進めているところである。
 お尋ねのその他の点については、仮定の御質問であり、答弁を差し控えたい。

四の1及び2について

 福岡防衛施設局において、平成十一年十一月、佐世保港におけるLCACの実際の走行による周辺地域への影響調査を実施したところ、次のような調査結果を得ている。

(一) 走行音については、等価騒音レベルでは、LCACが走行した時間帯以外においても、LCACが走行した時間帯と同等又は大きな数値を測定している時間帯があることから、LCACの影響割合は小さいものと考えられる。
(二) 飛来塩分については、LCACの走行と飛来塩分の付加に関し、走行日よりも非走行日の方が塩分濃度の高い結果も見られ、明確な相関関係は得られなかった。
(三) 水中騒音については、一般航行船舶と比較して低いレベルであり、水中への騒音影響は少ないものと考えられる。

 政府としては、現時点の調査結果を踏まえれば、LCACの運用による農業又は漁業への影響は少ないものと認識している。

四の3について

 港則法(昭和二十三年法律第百七十四号)には、船舶の上限速度を規制する明文の規定はない。
 政府としては、LCACの運用に係る上限速度(約二十ノット)及び航行経路の設定により佐世保港内における海上交通に対する影響を可能な限り少なくするよう、現在、米軍と調整を進めているところである。

四の4について

 LCACの実際の走行による周辺地域への影響調査及びその結果については、四の1及び2についてで述べたとおりである。海上交通に関しては、佐世保港内における定期客船等の航路を調査し、米軍との調整の基礎資料としている。
 LCACの運用については、上限速度及び航行経路の設定により、佐世保港内の航行の安全を確保するとともに、環境への影響を最小限にするよう、現在、米軍と調整を進めているところである。
 いずれにしても、今後、LCACの施設の設置又は運用に伴う安全及び環境の問題については、適切に対応してまいりたいと考えている。

別表 1/2

別表 2/2