質問主意書

第147回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三号

内閣参質一四七第一三号

  平成十二年三月二十八日

内閣総理大臣 小渕 恵三   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員岩佐恵美君外一名提出低周波音公害の対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員岩佐恵美君外一名提出低周波音公害の対策に関する質問に対する答弁書

一について

 環境庁においては、昭和四十八年度以降毎年度行っている騒音規制法(昭和四十三年法律第九十八号)の施行状況調査の中で、低周波音に係る苦情件数を工場・事業場、建設作業、自動車交通、家庭生活等の発生源別に把握する等の調査を行っている。
 また、昭和五十一年度以降に行った調査研究の成果を昭和五十九年十二月に「低周波空気振動調査報告書」として取りまとめた後、昭和六十年度には「低周波空気振動防止対策事例集」を作成するとともに、地方公共団体に配布し、地域の実情に応じた取組を支援している。
 さらに、平成九年度からは、「低周波音対策指針策定調査」において低周波音に関する生活環境保全上の目標、測定方法及び対策手法に関する調査検討を行っているところである。

二について

 低周波音については、測定方法が確立されていないこと、多様化している発生源ごとの対策手法の検討が必要なこと等から、測定方法等に関するマニュアルを策定することを目的として、平成九年度から、公益法人等に委託して、低周波音解析調査等を行っており、平成十二年度を目途にマニュアルを取りまとめ、地方公共団体に配布することを予定している。

三について

 二についてで述べた調査の実施に際しては、委託先の公益法人において調査委員会が設けられ、低周波音の測定方法及び対策手法について助言を行ってきた学識経験者、地方公共団体職員等が委員として参加しており、測定方法等に関するマニュアルの原案の策定に当たっても、これらの委員の意見が反映されるものと考えている。環境庁においては、その原案を基に測定方法等に関するマニュアルを取りまとめ、地方公共団体に配布することとしている。

四について

 御質問の低周波音被害の実態については、一についてで述べたように、環境庁において、毎年度、全国の苦情件数を発生源別に把握している。
 低周波音と健康被害の因果関係については、環境庁が昭和五十九年度まで行った調査研究において、一般環境中に存在するレベルの低周波空気振動では人体に及ぼす影響を証明し得るデータは得られなかったところである。
 低周波音問題の解決については、同じ種類の発生源であっても、立地条件、機器の設置状態等により苦情の内容が大きく異なること等から、各地方公共団体等において苦情の具体的内容に即した対応を行うことが望ましいと考えており、このような取組を支援するため、環境庁から各地方公共団体に対し「低周波空気振動防止対策事例集」を配布したところである。
 今後は、低周波音の測定方法等に関するマニュアルを策定し、精度の高いデータを集めるとともに、低周波音問題の改善を図るための対策に関する調査研究に取り組んでまいりたい。

五について

 低周波音に関する苦情件数等については、毎年度、騒音規制法の施行状況調査の中で取りまとめ、明らかにしているところである。
 低周波音は多くの場合騒音と共に発生することから、主として地方公共団体の環境部局において、騒音に関する苦情と共に低周波音に関する苦情も受け付け、各々の苦情の具体的内容に即した対応を図ることが望まれる。環境庁においても、「低周波空気振動対策事例集」や低周波音の測定方法等に関するマニュアルの配布を通じて、地方公共団体の取組を支援してまいりたい。