質問主意書

第147回国会(常会)

答弁書


答弁書第一二号

内閣参質一四七第一二号

  平成十二年三月三十一日

内閣総理大臣 小渕 恵三   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員櫻井充君提出特別療養環境室の差額室料に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員櫻井充君提出特別療養環境室の差額室料に関する質問に対する答弁書

一について

 他の入院患者の院内感染を防止するために感染症の患者を隔離する必要性については、当該患者が保有している病原体の種類、当該患者の症状、他の入院患者の状況等を踏まえて、主治医等が個々に判断すべきものと考えている。
 一般に、患者が同意した上で特別の療養環境に係る病室(以下「特別療養環境室」という。)へ入院した場合は、それが感染症の患者であったとしても、当該患者から特別療養環境室に係る特別の料金(以下「差額室料」という。)を徴収することは可能であるが、主治医等が他の入院患者の院内感染を防止するために、感染症の患者の選択によらず特別療養環境室へ入院させた場合には、当該患者から差類室料を徴収してはならないと考える。

二について

 特別療養環境室に入院するかそれ以外の病室に入院するかは原則として患者の選択によるものであり、各々の患者が望む病室に空床ができるまでの間入院を見合わせる場合もあると考えられるが、緊急を要し、患者の選択によらず特別療養環境室へ入院させた場合には、保険医療機関は当該患者から差額室料を徴収することはできず、その病状の経過を観察しつつ、特別療養環境室以外の病床が空床になるのを待って特別療養環境室から移す等の措置を講ずることになる。

三について

 特別療養環境室への入院が患者の選択によらず強制されるようなものであってはならないが、仮に特別療養環境室への入院が保険医療機関から先に申し出られたものであったとしても、保険医療機関から患者に対し差額室料等についての明確かつ懇切な説明がなされた上で当該患者が特別療養環境室への入院に同意したのであれば、不適切なものではないと考える。

四について

 差額室料の徴収を伴う特別療養環境室への入院に当たっては、少なくとも当該特別療養環境室の構造、設備及び料金についての明確かつ懇切な説明がなされる必要がある。また、同意書には、差額室料を明示した上で、患者側の署名を受けることが必要である。

五について

 入院医療に必要な療養環境の提供については社会保険診療報酬において評価しているところであるが、重症者等療養環境加算の対象となる者等を除けば、特別の療養環境の提供を受けるか否かは原則として患者の選択によるものであることから、その差額室料は全額患者が負担することとしているものであり、当該差額室料相当分を社会保険診療報酬により賄うことは適当ではないと考える。