質問主意書

第147回国会(常会)

質問主意書


質問第五二号

循環型社会形成推進の基礎となる環境教育・環境学習に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十二年六月一日

福本 潤一   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   循環型社会形成推進の基礎となる環境教育・環境学習に関する質問主意書

 第百四十七回国会において「循環型社会形成推進基本法」が成立し、同時に関連する廃棄物・リサイクル関係諸法も成立した。このことは「平成十二年度を循環型社会元年」と位置づけた与党三党の政策合意にとって、大きな前進となったと評価している。
 しかし、二十一世紀を「環境の世紀」ととらえ、我が国を環境立国、環境先進国とするためには、国民一人一人の意識とライフスタイルの変更が循環型社会形成推進にとって不可欠であると考えている。
 大量生産、大量消費、大量廃棄の二十世紀型社会から持続可能な循環型社会への変革は、便利性と効率性を追求した結果できあがったシステムとそのシステムによる便益を享受してきた国民やシステムを構築してきた事業者などに対する意識とライフスタイルの変革なしに実現できる社会ではない。また、循環型社会は、物質循環とともに自然循環を含め地球環境という視点にまで拡げた循環を考えた社会であることを事業者を含めた国民全てが認識する必要がある。
 環境基本法及び同法に基づく環境基本計画においても環境教育・環境学習は重要事項として推進されてきているが、以上のような循環型社会形成推進の視点と方向性を明確にして、国民や事業者の認識を高めるための環境教育・環境学習のより一層の充実を求めることが重要であると考え、以下質問する。

一 環境教育・環境学習の意義について

1 政府は、循環型社会形成推進に向けて環境教育・環境学習の意義をどう認識しているか。
2 環境教育・環境学習は、国民や事業者のすべてを対象とし、循環型社会に向かって、国民生活、事業活動の在り方そのものを環境への負荷の少ないものに変えて行く必要があることを認識させるものでなければならないと思うがどうか。

二 環境教育・環境学習体制の充実・在り方について

1 環境教育・環境学習体制の現状はどうなっているのか。
2 縦割り行政の中で、環境教育・環境学習に関する各省庁間の連携や国と地方公共団体との役割分担をどう考えていくのか。
3 米国のように学校教育と社会教育とを適切に組み合わせ、NGOの活用も図ってのカリキュラムが必要と思うがどうか。
4 環境問題を総合的に教育する学部・学科・大学院や教官の不足状況にかんがみ、人材育成をどう図っていくのか。
5 事業者に対する循環型社会における事業活動の在り方への認識と自覚を促すための教育はどのように進めるのか。
6 事業活動を実際に行う従業員に対する教育はどのように進めるのか。

三 循環型社会形成推進基本法における各主体の責務への取組について

1 国民に対する排出者責任をどのように認識させるのか。
2 循環型社会の制度構築のために事業者に求められる排出事業者責任、拡大生産者責任に対する認識と自覚をどのように促していくのか。

四 一から三までの質問を踏まえ、ドイツ、米国を始めとする諸外国の環境教育・環境学習の実情、国民の意識、事業者の事業活動への自覚や取組はどうなっているのか。

  右質問する。