質問主意書

第147回国会(常会)

質問主意書


質問第三九号

介護現場におけるアロマセラピーの臨床実践に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十二年五月二十五日

櫻井 充   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   介護現場におけるアロマセラピーの臨床実践に関する質問主意書

 現在、薬による副作用の多発や薬漬け等からくる現代医療に対する不安が高まっている。一方で、介護保険の導入に伴って、被介護保険者の生活の質を向上せしめ、活力を喚起させるアロマセラピー(芳香療法)が我が国でも注目を集め始めている。
 既に英国では、香りの効用と精油の薬理作用に着目してターミナルケア・ホスピス・リハビリ等にアロマセラピーを取り入れており、代替医療の一手段として定着してきている。また、フランスやベルギー等ではアロマセラピーに精通した医師が診断・処方し、患者は薬局で精油を購入して用いており、精油を薬剤の素材として扱っている。
 我が国においても「日本アロマセラピー学会」、「日本アロマケア学会」、「日本アロマテラピー協会」等、数多くの関係団体が設立され、アロマセラピーの学術的発展のための調査・啓蒙活動が行われるようになった。その結果、アロマセラピー導入の成功例が数多く報告されている。
 これら諸団体の研究から、アロマセラピーを積極的に介護現場に導入した場合、補助(補完)的医療効果と薬剤としての医療効果が期待できると考えられる。なお、補助(補完)的医療効果とは、良い香りによって人の心を穏やかにし、安らぎを与えることや、トリートメントマッサージによって人と人が触れ合い、信頼感・安心感・開放感がもたらされ、「心の癒し」につながる等の効果である。また、薬剤としての医療効果とは、精油自体が持つ抗菌力・免疫力等により未病・予防環境が整う等の効果である。
 しかし、現在の医療従事者関連諸法・薬事法等にはセラピストの資格はもとより、方法として用いる精油の安全基準さえ何一 つ明確に提示されていない。このような現況では、実際にアロマセラピーを病院や介護施設等で導入することは困難である。
 そこで、以下質問する。

一  アロマセラピーの補助(補完)的医療効果と薬剤としての医療効果をどの程度認識しているか。

二 アロマセラピーは西洋医療を補完するいわば代替医療であると考えるが、アロマセラピーは医療なのかどうか。医療であるとすれば、アロマセラピーは医療としてどのような位置付けにあるのか。

三 アロマセラピーが医療であるとすれば、これを施せるのは誰か。現在アロマセラピーを施せる資格はあるのか。ないとすれば、アロマセラピーを施せる資格を設ける見込みはあるか。

四 精油の品質・性質をどの程度把握しているか。

五 現在精油は大半が雑貨として輸入されている。精油は薬剤又は薬剤の素材であるのか、雑貨であるのか。薬剤であるとすれば、精油は薬剤としてどのような位置付けにあるのか。

六 精油が薬剤であるとすれば、これを扱えるのは誰か。現在精油を扱える資格はあるのか。ないとすれば、精油を扱える資格を設ける見込みはあるのか。

七 精油の安全基準等国内ガイドライン策定の準備はあるか。

八 福祉・介護の専門研究機関が特別養護老人ホーム・老人保健施設等と連携してアロマセラピーの臨床実践を行うことについての政府の見解と展望を示されたい。

  右質問する。