質問主意書

第147回国会(常会)

質問主意書


質問第三三号

ジェット練習機墜落事故と市街地上空での自衛隊機の飛行に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十二年五月二十二日

福島 瑞穂   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   ジェット練習機墜落事故と市街地上空での自衛隊機の飛行に関する質問主意書

 昭和六十二年十一月頃から、東京都小平市及び国分寺市において、突然、航空自衛隊入間基地と陸上自衛隊立川基地などの所属機による低空飛来及び飛行訓練が頻繁に行われるようになった。そこでは、飛行コースが交錯する特異な航空交通の状況になっており、小平市当局が飛行騒音の低減と安全性の観点から、両基地に対しこれまでに二回、現状改善と訓練の事前通告などを行うよう申し入れたにもかかわらず、今なお、事前通告もないまま、日に延べ数十機から百機以上の飛来が行われており、ニアミスと思われる接近飛行も確認されている。
 そうした中、昨年十一月二十二日には、入間基地所属のT33ジェット練習機が入間川河川敷に墜落炎上する事故が起きており、また、平成九年八月二十一日には、茨城県竜ヶ崎市において編隊飛行中の陸上自衛隊のOH6ヘリコプターが、民間の小型機と空中衝突し墜落炎上するという事故も起きている。これまで両市においては、日常的に頻繁にT33などのジェット練習機やOH6ヘリコプターが飛来しており、編隊飛行なども行われている。これらの事故は、どちらも住宅密集地の間近で起きており、自衛隊基地の離発着コース及び飛行訓練コース直下で生活する地域住民の不安を一層つのらせるものである。事故は二度と繰り返されるべきではなく、このような危険な飛行は速やかに中止されるべきである。
 そこで、以下質問する。

一、昨年十一月二十二日の入間基地所属のT33ジェット練習機の墜落炎上事故について、今なお、事故機の飛行コースや機内の出火原因は公表されていない。事故当日の事故機、他の入間基地所属機及び同基地を離発着した関係基地所属機の飛行ルート及び飛行計画(フライトプラン)を明らかにされたい。また事故機の出火原因を明らかにされたい。

二、ジェット練習機の墜落炎上事故は、首都圏の住宅集中地間近で起きたが、入間基地は、昭和五十三年に入間市に対し、一キロメートルのスパンで表示した機種ごとの詳細なフライトコースプラン図を提示している。この飛行コース図は、どのような必要性と経緯のもとに作成されたのかを明らかにされたい。また、飛行コース下で生活する地域住民の生命財産の安全を図るために、入間基地の現在の同様のフライトコースプラン図を作成し、同基地の周辺市に対し提示できるかどうかを明らかにされたい。

三、ジェット練習機墜落炎上事故に関し、事故当日の午前中、小平市上空で旋回し入間基地方向へ飛行するT33ジェット練習機が目撃されているが、入間基地の最終進入コースの直下に当たる小平市及び東京都の他市において、入間川河川敷と同様の緊急避難地域が設定されているならば、その具体的な地域を明らかにされたい。また、入間川河川敷の他に埼玉県内に緊急避難地域が設定されているならば同様に明らかにされたい。

四、小平市上空の飛行に関する入間基地と立川基地との協定あるいは内規は、防衛庁の「航空機の運行に関する訓令」により定められているとの説明を、以前、防衛庁より受けたが、同訓令のどの条項あるいは条文を根拠とし、定められたものなのかを明らかにされたい。

五、平成五年三月、小平市当局に対し入間基地は、ジェット練習機などの小型機の場合では海抜一五〇〇フィートから一八〇〇フィート(四五〇メートルから五四〇メートル)の高度で同市上空を飛行していると回答している。しかし、住民側の調査では地上から三〇〇メートル程度の低高度の飛行も目撃されている。同市における入間基地の飛行高度の設定が、その後変更されたのかどうかを明らかにされたい。また、変更があったとするならば、新たな設定高度と変更のあった時期を明らかにされたい。

六、このような事故を二度と引き起こさないために、政府はどのような対策を考えているか。また、市街地周辺での低高度での飛行訓練は速やかに中止すべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。