第147回国会(常会)
質問第二八号
ジュゴンの生息環境保全等に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成十二年五月一日 照屋 寛徳
ジュゴンの生息環境保全等に関する質問主意書 沖縄県民、いや日本国民はジュゴンと“怪鳥”オスプレイのどちらを選ぶか、その決断と選択を問われている。
一、答弁書によると「環境庁においては、全国の藻場、干潟及びサンゴ礁の状況を把握する調査を行っている」とのことである。この調査はいかなる目的で、どれくらいの予算措置をして実施されたのか。また、調査対象の藻場はジュゴンの餌となる海草藻場なのか、さらに、沖縄本島周辺の海草藻場の価値をどのように捉えているのか明らかにされたい。 二、私は、先の質問主意書でジュゴンネットワーク沖縄や粕谷俊雄三重大学教授らの調査研究によれば、「沖縄本島東海岸域は国内で唯一のジュゴン生息地であり、生息環境を緊急に改善しないと、絶滅の可能性が高い」と指摘されていることに触れた。政府は、ジュゴンの絶滅の可能性についていかなる認識をしているか明らかにされたい。 三、答弁書によると「ジュゴンの生息確認、個体識別等を目的とした現地調査は実施していない。なお、今後の調査については、未定である」とのことである。政府は、ジュゴンの生息範囲、生息数、生息環境、保護上の問題点等の解明等を目的とした現地調査の必要性を否定するのか、それともその必要性は認めつつも、調査方法が確立されないので調査実施の態勢にないというのか、答弁の趣旨を明らかにされたい。 四、答弁書によると「環境庁においては、ジュゴンの生息状況等において、平成九年度に国内外の文献等の資料の収集」を行ったという。どのような文献、資料を収集したのか明らかにされたい。 五、ジュゴンの保護については、国際社会にあっては捕獲や採捕の禁止による保護から、それらを含む生息が確認された水域を「生息地等保護区」に指定し、総合的な保護策を講ずる考え方になっている。捕獲や採捕の禁止だけではジュゴンの保護策として不十分と考えるが、政府の対応を明らかにされたい。 六、答弁書によると「環境庁においては、沖縄本島北部三村にまたがるやんばる地域において自然公園法第二条第二号に規定する国立公園を指定することを念頭に置いて、調査及び検討を進めている段階」であるという。現在までの検討の中で出た問題点や課題、いつ頃までにどの範囲を国立公園指定するのか明らかにされたい。 七、沖縄県名護市議会は、平成十年三月三十一日、「海上ヘリ基地建設予定海域内の自然環境調査に関する要請決議」を行い、政府関係要路に(1)辺野古キャンプ・シュワーブ沖でのジュゴンと海ガメの生態調査及び周辺海域の環境調査を実施すること、(2)IUCN(国際自然保護連合)に対し、ジュゴンと海ガメの生態調査及び沖縄本島東海域の環境調査を依頼すること等を要請している。
右質問する。 |