質問主意書

第147回国会(常会)

質問主意書


質問第一八号

たばこ問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十二年三月十三日

福本 潤一   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   たばこ問題に関する質問主意書

 WHO(世界保健機関)では、一九七〇年代から、「予防可能な最大の疫病」と喫煙に起因する多くの疫病を「たばこ病」と位置づけ、抜本的な対策を加盟各国に勧告してきた。この勧告に従い、多くの国々では、公共の場、交通機関での禁煙・分煙の徹底、禁煙啓発活動の推進等具体的な規制対策に取り組んでいる。
 我が国でもここ数年、列車、航空機、病院待合室、青少年施設などでの禁煙、分煙は、かなり進んできたが、依然として成人喫煙率は先進国中で群を抜いて高く、また、未成年者と若い女性の喫煙は増加の一途をたどっており、次世代を担う若者の「たばこ依存現象」は、大きな社会問題となっている。
 そこで以下質問する。

一、たばこ対策に関する政府の取組について

1 WHOを始め、世界の多くの国々が、たばこの消費削減を目指している。我が国もたばこの消費削減、禁煙教育、喫煙防止教育の推進を積極的に図るべきであると考えるが、政府の対応はどうか。
2 厚生省は、現在健康日本21計画の策定に向けて鋭意検討しているようであるが、健康日本21計画におけるたばこ対策は、具体的にどのようなものになる予定なのか、説明願いたい。
3 たばこ対策について諸外国の例に学ぶ必要があると考えるが、健康面からたばこ規制を盛り込んだ法律を有する諸外国の例はあるのか。

二、職場等における分煙対策について

 労働省及び厚生省は、分煙を基本にした「ガイドライン」を策定しているが、これを実現するかしないかは、民間各企業、自治体等の裁量に委ねられている。裁量に任せておいては、非喫煙者が煙害に悩まされないという保証にはならない。職場の分煙対策については、強制力を持った方策が必要であると考えるが、政府としてはどのように考えているか。

三、たばこ自動販売機について

 未成年者喫煙禁止法では、未成年者が喫煙するためと知りつつたばこ販売を行うことを禁止している。しかし、実態は全国各地で、毎日多くの未成年者が自動販売機でたばこを購入し、喫煙している。法の趣旨が達成されていないこのような事態を、政府はどのように考えているのか。

四、歩行喫煙について

 公共交通機関、公共の場所での喫煙規制が進み、その反動からか、歩きながらの喫煙が増加の一途をたどっている。また、約千の地方自治体がいわゆるポイ捨て禁止条例を制定して、ポイ捨てを規制しているが、焼け石に水の状態である。歩行喫煙は、幼児の目の高さにたばこの裸火があるため、極めて危険な行為である。また、ポイ捨ては、街の美観を損なうと同時に火災の予防の観点からも大きな問題となっている。歩行喫煙、ポイ捨てをなくすために抜本的な政策が必要であると考えるが、政府としてはどのように考えているのか。

五、公共交通機関のたばこ広告について

1 最近、JR、私鉄、地下鉄の駅構内と車内広告、タクシーの窓などにたばこ広告が激増している。特に、電車の中吊り広告は、「囚われの広告」であり、そこから逃れることのできない状態であることから、有害商品、過激な性表現などと同様に、これを厳しく規制すべきであるとの意見もある。公共交通機関におけるたばこの広告について、政府として何らかの対策は考えているのか。
2 諸外国では、公共交通機関等におけるたばこ広告は、厳しく規制されていると思うが、各国の規制はどのようになっているのか。

六、たばこ事業について

1 我が国には「たばこ事業法」が存在するが、本法のように「たばこ産業の健全な発展を図り、もつて財政収入の安定的確保」を目的とする法律が、諸外国に存在するのか。
2 我が国のたばこ事業の監督官庁は大蔵省であるが、諸外国では、どのような行政機関がたばこ事業の監督官庁となっているのか。
3 たばこの監督官庁は、国民の健康という側面から考えると、厚生省がふさわしいのではないかと考えるが、政府の見解はどうか。

  右質問する。