質問主意書

第147回国会(常会)

質問主意書


質問第一三号

低周波音公害の対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十二年三月一日

岩佐 恵美   
緒方 靖夫   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   低周波音公害の対策に関する質問主意書

 低周波音公害については、一九七〇年代から被害者の訴えが増加し、新たな公害として社会問題になった。一九七八年十一月七日の参議院公害対策及び環境保全特別委員会では、日本共産党沓脱タケ子議員の西名阪道路沿線低周波音被害に関する質問に対し、環境庁大気保全局長が「道路交通が一つの大きい振動あるいは低周波振動というようなことでの影響を及ぼしているのでないだろうかということは言える」「研究調査を進めて、それによって将来環境基準ができるものならばはっきりつくっていくということを考えている」と答弁した。
 ところが環境庁は、一九八四年十二月、「一般環境中に存在するレベルの低周波空気振動では、人体に及ぼす影響を証明しうるデータは得られなかった」という調査報告書を発表した。以降、政府としての低周波音公害対策は遅々として進まず、被害を放置して、被害者を苦しめてきたことは決して許されることではない。
 近年、道路とともに二十四時間営業店舗の増加や各種住宅機器の普及に伴い、住宅地における低周波音による被害が増加しており、早急な対策が求められている。
 よって、以下質問する。

一 前記環境庁の報告書は、「一般環境中においては、低周波振動と可聴音は複合して存在しており、今後は両者を複合した条件下での生理的影響、心理的反応等に着目した調査研究を進め、低周波空気振動の及ぼす諸影響についてさらに解明することが必要であると考える」としている。その後、どんな機関で、いかなる調査研究を行ってきたか。また、低周波音による被害に対して政府が行ってきた対応を明らかにされたい。

二 環境庁は、低周波音の測定方法に関する基準(以下「測定基準」という。)の策定作業を進めているとのことだが、その目的、検討経過と内容、策定の時期を明らかにされたい。

三 測定基準には低周波音による被害実態が適切に反映されるべきである。測定基準の策定に当たって、低周波音被害者や低周波音被害救済に取り組んできた専門家などの意見を反映するいかなる措置をとってきたか。また、今後どのような措置をとるか。

四 低周波音被害の防止と被害者救済を行うためには、被害の発生状況、被害の態様と原因、低周波音発生状況など、低周波音被害の実態を全国的に把握する必要がある。また、低周波音と健康被害の因果関係、被害の防止、被害者の治療方法など、総合的な低周波音被害対策、被害者救済対策を早急に確立する必要がある。これらについて、今後政府としてどのように取り組む方針か、具体的に明らかにされたい。

五 低周波音被害については、大型公共施設や大工場などによるものだけでなく、近隣騒音被害も増加しており、当事者間の低周波音被害に対する認識の不足が、問題を深刻化させている一要因となっている場合が少なくない。よって、低周波音被害について周知徹底を図るとともに、政府、地方公共団体が個別問題の解決に積極的な役割を果たすことが求められている。低周波音被害について、行政の担当部署の明確化、測定能力の向上、相談窓口の設置などが必要であると思うが、どうか。

  右質問する。