質問主意書

第147回国会(常会)

質問主意書


質問第一二号

特別療養環境室の差額室料に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十二年二月二十一日

櫻井 充   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   特別療養環境室の差額室料に関する質問主意書

一 平成十一年十二月二日提出の質問主意書第九号に対する答弁書(以下「答弁書」という。)によれば、院内感染を引き起こすような感染症の患者を保険医療機関が特別療養環境室へ入院させることは、当該患者に対する治療上の必要がある場合に該当しないとある。つまり、差額室料の請求を行っても構わないということである。
 患者からの苦情を受け付けている市民グループに寄せられている差額室料の相談で、最も多いのは、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)による感染症で隔離された場合の差額室料についてである。MRSAを始めとする院内感染者の場合、他者への感染を予防するために隔離は必要だと考えるが、政府の認識はどうか。もし、隔離が必要との認識であれば、院内感染によって感染症となった患者が、他の患者への感染を予防するための費用をなぜ個人負担しなければならないのか。その理由を示されたい。

二 答弁書によれば、特別療養環境室以外の病室に空床がない場合等においても、差額室料を請求することは差し支えないとある。では、特別療養環境室以外の病室に空床がない場合に、患者側が差額室料の請求に同意しないときには、医療機関はどのような対応をすればよいのか。

三 答弁書によれば、患者による差額室料の負担を伴う特別の療養環境の提供は患者の選択と同意に基づいて行われる必要があるというのが制度の趣旨とある。
 しかし、市民グループに寄せられている相談をみると、差額室料の負担に伴う同意は、患者の選択ではなく、医療機関側の求めによる場合がほとんどである。治療上の必要とは認められず、患者が差額室料を伴う特別療養環境室への入院を希望していない場合に、医療機関からの申出で同意書の提出を求めることは適切な請求か。政府の見解を示されたい。

四 特別療養環境室の差額室料を請求するための適切な同意とは、特別療養環境室の設備、構造及び料金以外にどのような情報提供がなされれば適切とみなされるのか。また、請求に必要な同意書内に示されるべき項目についても明らかにされたい。

五 これまで、治療上の必要で特別療養環境室に入院した場合や、同意書の提出がない場合にも差額室料の請求がなされ、数十万円から数百万円の不当な差額室料を払っている患者が存在することは、市民グループに届いている相談内容からも明らかである。厚生省による通知を無視してまでも請求を繰り返す理由には、保険医療機関にとって差額室料は大切な収入源であるということが考えられる。保険医療機関が、通知に基づいて正しく差額室料の請求をするために、治療上の必要や患者の同意がない場合の差額室料相当分を保険点数の中に正式に組み入れてはどうかと提案する。政府の見解を示されたい。

  右質問する。