質問主意書

第146回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二一号

高レベル放射性廃棄物の処理処分に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十一年十二月十五日

福島 瑞穂   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   高レベル放射性廃棄物の処理処分に関する質問主意書

 原子力発電所から毎年生み出される高レベル放射性廃棄物を最終的にどのように処理するか、具体的な計画はまだ立案されていない。通産省からは、高レベル放射性廃棄物の処理処分の考え方が示され、核燃料サイクル開発機構からは、高レベル放射性廃棄物に関する地層処分研究開発第二次取りまとめが「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性」と題して発表された。来年には高レベル放射性廃棄物の最終処分についていよいよ立法化が行われる予定である。一方で、放射性廃棄物の処分地と目される地点からは、その地域及び周辺の人々から反対の声が上がり、その声を無視して処分地の決定は行わないという確認が各地で行われている。このような背景の中で、政府方針とこれまでの各地との確認や約束はどのように関係し履行されていくのかについて疑問点が多いので、以下質問する。

一、二〇〇一年からの省庁再編に伴い、高レベル放射性廃棄物の処分事業及びそのための技術開発は経済産業省の所管となるということだが、この「技術開発」には、核燃料サイクル開発機構が計画している幌延町の深地層研究所(仮称)における各種研究開発が含まれるか。

二、この深地層研究所に関連して科学技術庁が北海道知事に対し一九九八年一二月一八日に行った回答(以下「回答」という。)についての責任は、文部科学省と経済産業省の共管として引き継ぐということだが、処分事業に関係するのであれば経済産業省、関係しないのであれば文部科学省と明確に分かれるはずである。この回答についての責任を、経済産業省が単独で引き継がない理由は何か。

三、北海道からの照会文では「道としては道内に放射性廃棄物を受け入れる意思はなく…」と、放射性廃棄物全般を対象にしているのに対し、回答は「高レベル放射性廃棄物の…」と限定的な答えとなっており、見方によっては高レベル放射性廃棄物以外の低レベル放射性廃棄物やTRU(超ウラン元素)廃棄物については受け入れに含みを持たせた回答とも受け取れる。そこで、私がこれについて「低レベル放射性廃棄物もTRU廃棄物も持ち込まないという意味か」という問い合わせをしたところ、「道内に低レベル放射性廃棄物が持ち込まれたり、道内が中間貯蔵施設や処分場の立地場所になることはない」という返事を得たが、TRU廃棄物については言及されていなかった。これはTRU廃棄物の持込みの可能性が否定できない趣旨と受け取ってよいか。

四、回答は、将来にわたって北海道に高レベル廃棄物を持ち込まないことを約束した文書と受け取られている。これは、処分実施主体が行う「処分候補地」から「処分地」に至る一連の立地選定プロセスから北海道を除外したものと受け取ってよいか。

五、今後の処分場立地選定プロセスにおいて、北海道及び回答と同趣旨の見解が示された青森・岐阜両県と他府県とでは、異なる扱いになると理解してよいか。

六、回答によると、旧動燃で発生した放射性廃棄物は幌延以外で貯蔵することになっているが、どこで貯蔵するのか。現時点で、候補自治体はあるのか。

七、核燃料サイクル開発機構は、深地層研究所の研究実施区域について、処分実施主体に譲渡又は貸与することがあるか。

八、旧動燃の貯蔵工学センター計画にある「深地層試験場」と核燃料サイクル開発機構の深地層研究所は、試験目的や立地場所、対象地層が同じものであるか。

九、貯蔵工学センター候補地だった幌延町開進地区では、「地権者の要請」として、核燃料サイクル開発機構の予算を使い警備員の常駐が続いている。警備委託契約を始め、地権者との土地貸借契約、閉鎖された旧動燃事務所のリース契約も継続中であり、道民の間からは、「貯蔵工学センター計画は白紙に戻っていない」との疑惑を招いている。これらの契約が継続されている理由は何か。また、来年度以降、以上のような各種契約にかかわる予算計上を中止する意思はあるか。

  右質問する。