質問主意書

第145回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三号

内閣参質一四五第一三号

  平成十一年四月九日

内閣総理大臣 小渕 恵三   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員照屋寛徳君提出民間機及び民間船舶による武器・弾薬等の輸送に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員照屋寛徳君提出民間機及び民間船舶による武器・弾薬等の輸送に関する質問に対する答弁書

一の1について

 平成九年七月、沖縄県に駐留するアメリカ合衆国海兵隊(以下「米海兵隊」という。)が、沖縄県道一〇四号線越え実弾砲兵射撃訓練を北富士演習場に移転して行った訓練に際し、防衛施設庁は、我が国に駐留するアメリカ合衆国軍隊(以下「在日米軍」という。)からの調達の依頼を受け、日本通運株式会社(以下「日本通運」という。)と輸送役務契約を締結し、当該契約に基づき、在日米軍が、御指摘の民間航空機(以下「本件航空機」という。)等により米海兵隊の人員並びに銃器及び弾薬等を同演習場へ輸送したところである。
 また、本件航空機は、在日米軍からの調達の依頼を受け、防衛施設庁が借り上げたものであり、借上げに当たっては、防衛施設庁と当該契約を締結した日本通運が、全日本空輸株式会社(以下「全日空」という。)と貸切運送契約を締結している。

一の2について

 本件航空機で輸送された米海兵隊の人員の数は約百三十名、銃器の種類と数は小銃約七十挺及びけん銃約二十挺並びに弾薬の数は米海兵隊の軍事警察のけん銃用弾薬約三十発である。

一の3について

 本件航空機への銃器及び弾薬の積込みについては、全日空の依頼を受けた民間事業者が、米海兵隊の隊員及び防衛施設庁の職員の立会いの下、自動運搬装置(ベルトコンベア)を用いて行い、米海兵隊の軍事警察のけん銃一挺以外の銃器を貨物室に、当該けん銃一挺及び当該けん銃用の弾薬約三十発を機長の指定した場所に積込みした。
 また、本件航空機からの取卸しについても、同民間事業者が、米海兵隊の隊員及び防衛施設庁の職員の立会いの下、自動運搬装置(ベルトコンベア)を用いて行ったところである。

一の4について

 防衛施設庁は、輸送役務契約を締結した日本通運を通じ、銃器及び弾薬を含む積載物の内容について、あらかじめ全日空に連絡していたところである。したがって、全日空においては、銃器の種類及び数並びに弾薬の数について把握していたものと承知している。

一の5について

 本件航空機による輸送における日本通運と全日空との間の貸切運送契約は、通常の貸切運送契約であり、本件航空機の操縦、運航管理等の運航業務の実施自体は、当該契約に基づいて全日空の従業員が行ったものである。また、米海兵隊の人員等を所定の日時及び場所に安全に輸送することについては、在日米軍内において責任を有する米海兵隊の指揮官が本件航空機に搭乗し、その形態で運航を管理していたものである。

一の6及び二の3について

 本件航空機及び本年二月に米海兵隊が日出生台演習場で行った射撃訓練に際し、米海兵隊のりゅう弾砲等を輸送した民間船舶(以下「本件船舶」という。)は、在日米軍からの調達の依頼を受け、防衛施設庁が借り上げた航空機及び船舶であり、防衛施設庁と日本通運との間の輸送役務契約において、米海兵隊の指揮官が本件航空機及び本件船舶に乗り込み、その運航を管理する旨明らかにされており、また、実際にもそのように運航されているので、本件航空機及び本件船舶は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「地位協定」という。)第五条にいう「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるもの」に該当すると考える。
 また、御指摘の事例以前に、在日米軍からの調達の依頼を受けて防衛施設庁が民間航空機又は民間船舶を借り上げた事例については、防衛施設庁に保管されている記録により確認できる範囲において、航空機に関してはその事例はなく、船舶に関しては、これまで射撃訓練を本土の各演習場に移転した際、民間船舶によりりゅう弾砲等が輸送されており、これらの民間船舶についても、本件船舶と同様に、地位協定第五条が適用されたところである。
 なお、従来から、アメリカ合衆国政府が防衛施設庁に調達の依頼を行うことなく自ら借り上げた民間の航空機及び船舶により、在日米軍が、地位協定第五条に基づき我が国に出入及び移動していることは承知しているが、その際に、具体的にいかなる物資を輸送しているかは、アメリカ合衆国政府と民間事業者の間の契約に係る事項であり、りゅう弾砲等の武器、弾薬等を輸送したかについては政府としては承知する立場になく、この点についてお答えすることは困難である。

二の1について

 御指摘の本年二月の米海兵隊の射撃訓練に際し、防衛施設庁は、在日米軍からの調達の依頼を受け、日本通運と輸送役務契約を締結し、当該契約に基づき、在日米軍が、本件船舶等により米海兵隊の百五十五ミリりゅう弾砲等を日出生台演習場へ輸送したところである。
 本件船舶の名称は、「第三光洋丸」及び「よね丸」であり、それぞれの所有者は、日陽シッピング株式会社及び大米興産株式会社である。本件船舶により、百五十五ミリりゅう弾砲四門、車両約四十台及びコンテナ等の物資が輸送され、本件船舶への積込み及び本件船舶からの取卸しについては、沖縄県に駐留するアメリカ合衆国陸軍の管理する那覇港湾施設及び大分県の管理する大分港において、琉球港運株式会社、日本通運等の民間事業者が、米海兵隊の隊員及び防衛施設庁の職員の立会いの下、クレーン、フォークリフト等を用いて行ったところである。

二の2について

 本件船舶の操船、運航管理等の運航業務の実施自体は、本件船舶に係る船舶運航事業者の従業員が行ったものである。また、米海兵隊の物資を所定の日時及び場所に安全に輸送することについては、在日米軍内において責任を有する米海兵隊の指揮官が本件船舶に乗船し、その形態で運航を管理していたものである。