質問主意書

第145回国会(常会)

答弁書


答弁書第九号

内閣参質一四五第九号

  平成十一年四月二十三日

内閣総理大臣 小渕 恵三   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員中村敦夫君提出東京の廃棄物問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員中村敦夫君提出東京の廃棄物問題に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の建設廃棄物対策については、平成十年十二月一日に「建設副産物適正処理推進要綱」(平成五年一月十二日付け建設省経建発第三号)を改正するとともに、発注者、建設業者団体等に対して建設工事の施工に当たり同要綱が遵守されるよう措置することを要請したところである。
 この要綱の改正は、建設廃棄物等の建設副産物のリサイクルの一層の促進等を図る観点から、分別解体の実施を含む解体工事の施工に当たっての指針、建設廃棄物の種類ごとのリサイクルの促進のための留意事項等を新たに示すとともに、公共工事の発注者に対して特に資源の有効な利用への配慮を求めたものであり、要綱が遵守されることにより、御指摘の緊急経済対策において実施されるものを含め、今後の建設工事の施工において建設廃棄物の発生の抑制及びリサイクルの促進が図られるものと考える。

二について

 現下の厳しい経済情勢にかんがみ、景気の早急な回復を図るため、緊急経済対策として、二十一世紀を見据えた社会資本の整備及び住宅金融公庫融資と住宅税制の拡充による住宅投資の促進を図っているところである。
 一方、ダイオキシン類(ポリ塩化ジベンゾフラン及びポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシンの混合物をいう。以下同じ。)による環境汚染及び人の健康への影響をめぐる諸対策については、関係行政機関相互の緊密な連絡を確保し、その効果的かつ総合的な推進を図るため、本年二月二十三日に「ダイオキシン対策関係閣僚会議」の開催を決定し、同閣僚会議において、本年三月三十日に「ダイオキシン対策推進基本指針」を策定し、この中で、廃棄物焼却施設等に対する規制措置の徹底、産業廃棄物焼却施設における設備の高度化の際の政府系金融機関の融資制度の活用、建設廃棄物のリサイクルの推進等の建設廃棄物を含む産業廃棄物に係るダイオキシン対策を進めることとしているところであり、建設工事の施工においても、ダイオキシン類の排出削減が図られるものと考えている。

三について

 厚生省及び運輸省においては、首都圏のうち埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県の区域(以下「東京湾周辺区域」という。)において生じた廃棄物について埋立処分場の確保の見通し等を考慮するとともに当該廃棄物が首都圏以外の地域においても処理されているという実態を踏まえ、東京湾周辺区域に共同の最終処分場を設置し、当該廃棄物の広域的な処理を早急に実施する必要があると考え、昭和六十二年に御指摘の「東京湾フェニックス計画の基本構想」(以下「基本構想」という。)を取りまとめ、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市及び横須賀市の各地方公共団体に提示したところである。
 厚生省においては、この基本構想について、関係する地方公共団体の職員から構成される協議会において、逐次その必要性を説明しているところであり、関係する地方公共団体における廃棄物の広域的な処理についての検討に資するため、首都圏において生じた廃棄物が当該都県の区域や首都圏を越えて移動した状況について調査し、平成九年九月及び平成十年八月に取りまとめて公表したところである。また、同年二月には、東京都に対し、東京都が発注する公共事業に伴う産業廃棄物等の首都圏以外の地域への移動を最小限にすること、現在東京都が最終処分を行っている東京都新海面処分場を東京湾周辺区域における共同の最終処分場として提供すること等を要請する等、従来から、機会があるごとに、関係する地方公共団体に対して廃棄物の広域的な処理の実現に向けての取組を行うよう要請してきたが、現在のところ、基本構想について関係する地方公共団体の共通認識は得られていないところである。
 一方、地方公共団体においては、平成十年十一月に開催された埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県の知事並びに横浜市、川崎市及び千葉市の市長で構成される七都県市首脳会議において、「共同・協調し、廃棄物の発生・排出抑制や再資源化、適正処理に全力で取り組んでいくこと」とともに、「一般廃棄物の広域処分場については、今後も最終処分場の残余容量や将来見通し等について、定期的に調査・検討を行うこととし、その結果、広域処分場の必要性を確認した時点において、その設置について検討・協議を行うこと」及び「産業廃棄物については、事業者に対する指導の強化や不法投棄等の不適正処理の未然防止に関する広域的な取組を推進すること」が合意されたと承知しているところであり、厚生省においては、この合意により廃棄物の発生抑制、排出抑制、再資源化及び適正処理の取組が推進されることを期待しているが、東京湾周辺区域における廃棄物の広域処理の推進も併せて重要と考えていることから、引き続き関係する地方公共団体に対し要請を行ってまいりたい。

四の1について

 お尋ねの東京湾新海面処分場(東京都新海面処分場)Bブロック(以下「Bブロック」という。)の東側、西側及び南側の各護岸の沈下量に関し、運輸省において、東京都から、当初は東側護岸では〇・二メートル、西側及び南側護岸では〇・六メートルの沈下を想定していたところ、平成十年十二月末において、東側護岸では〇・〇三メートルから〇・一六メートルまで、西側護岸では〇・一三メートルから〇・五五メートルまで、南側護岸では〇・一八メートルから〇・三二メートルまでの沈下が認められた旨報告を受けている。

四の2について

 Bブロックの東側、西側及び南側の各護岸におけるケーソン及び鋼矢板の沈下に関しては、ケーソンについてはその沈下量が当初の計画時の想定の範囲内に収まるものであること、鋼矢板については事前混合処理土を敷設する際の型枠として使用しているものであり、その沈下は型枠としての機能に問題を生じないことから、政府及び東京都において特段の対策を講ずることとはしていない。

四の3について

 御指摘のBブロックにおける工事に関する情報開示については、行政に対する国民の信頼及び行政情報の有効利用の観点から、行政機関が管理する文書を広く公開するという「行政情報公開基準」(平成三年十二月十一日情報公開問題に関する連絡会議申合せ)の趣旨を踏まえ、適切に情報の開示を行ってまいりたい。また、東京都においても、東京都公文書の開示等に関する条例(昭和五十九年東京都条例第百九号)に基づき、適切に情報の開示が行われると承知している。

四の4について

 廃棄物の最終処分場の維持管理については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)第八条の三及び第十五条の二の二の規定に基づいて定めた一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令(昭和五十二年総理府令・厚生省令第一号。以下「基準命令」という。)第一条第二項第一号において、最終処分場の埋立地の外に廃棄物が飛散及び流出しないように必要な措置を講ずることとしており、御指摘の東京都が管理する中央防波堤外側埋立処分場においても、焼却灰等を加湿して埋め立てるとともに、毎日廃棄物に覆土する等により、廃棄物が埋立地の外に飛散及び流出しないよう措置が講じられていると承知している。
 厚生省において東京都に照会したところ、御指摘の平成十年十二月二十一日には、当該処分場において、過去に埋め立てられた分別ごみ及び覆土の勾配を緩やかにする作業として、分別ごみ及び覆土の掘削を行っていたものであり、これらは御指摘の焼却灰と異なり、処分場外に飛散するおそれのある性状のものではなかったとの回答を得ているところである。
 また、御指摘の最終処分場については、基準命令に従った維持管理が行われていると承知しており、御指摘の調査については、今後、その実施の必要性について検討してまいりたい。

五について

 廃棄物処理法第九条の四においては、一般廃棄物処理施設の設置者は当該一般廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び増進に配慮するものとされている。東京都が設置する御指摘の渋谷地区清掃工場については、東京都において独自に大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)に基づく排出規制値より厳しい目標値を設定すること等により、生活環境の保全及び増進に配慮が行われるものと承知している。
 次に、お尋ねの当該清掃工場の用地の選定及び用地の買収の経緯については、廃棄物処理法第九条の三第一項の規定に基づく一般廃棄物処理施設の設置の届出に際しては、これらの事項は届出事項ではなく、また、渋谷地区清掃工場建設事業は廃棄物処理施設整備費補助(以下「国庫補助」という。)の対象事業であるが、当該建設事業においては、東京都から用地費について国庫補助の申請はなかったことから、厚生省においては、用地の選定理由及び用地の買収の経緯は承知していない。
 なお、渋谷地区清掃工場は、御指摘のとおり渋谷区において発生する可燃ごみの全量を処理できるものではないが、平成二年十一月に東京都知事の諮問機関である東京都清掃審議会の答申において「清掃工場を持たない区にあっては、小規模用地でも建設の可能性がある場合には、小規模な清掃工場を建設するなどの努力をすべき」旨の提言がなされており、当該清掃工場はこの趣旨に従い建設されるものと承知している。

六の1から6までについて

 御指摘の柳泉園組合による一般廃棄物焼却施設の整備事業は、同組合が提出した平成九年度の廃棄物処理施設整備費国庫補助金(以下「国庫補助金」という。)の交付申請書における事業計画によれば、平成九年度から平成十三年度までの五年度にわたるものであり、このうち平成九年度には燃焼用火格子支持架台を含む燃焼設備の製造の事業を行い、当該燃焼設備の設置等の事業は平成十年度以降に実施することとされている。
 厚生省においては、従来から燃焼設備の製造についても国庫補助金の交付対象としているところであり、柳泉園組合は、平成九年度においては当該事業計画に基づいて当該燃焼設備の製造工事に着手することとされていたことから、同年度の国庫補助金は当該燃焼設備を補助の対象としたものである。また、御指摘の共通仮設費、現場管理費、一般管理費等の経費は、当該燃焼設備の製造工事に伴う水道光熱費、管理費等の経費である。また、本件国庫補助金の交付決定は、交付申請に基づいて交付決定権者である厚生大臣が行ったものである。
 なお、燃焼設備については、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第六条の規定に基づく建築確認を受ける必要がないものとされているところである。
 以上のことから、柳泉園組合の国庫補助金の交付申請は、御指摘のような虚偽の申請には当たらないものと考えており、御指摘のような平成九年度の国庫補助の取消し及び平成十年度の国庫補助金の交付の見直しは行う必要がないものである。

六の7について

 御指摘の柳泉園組合のごみ処理施設整備事業の事業計画の変更は、平成十二年度に予定している事業に係るものであり、平成十年度に前倒しした部分には影響がないものと承知している。
 御指摘の平成十一年度の国庫補助の前倒しは、平成十年度の補正予算において、ダイオキシン類の削減に資する施設の整備の促進を図るため、平成十一年度に予定されている一般廃棄物焼却施設等の整備事業の一部を平成十年度に前倒しして実施することに対して国庫補助を行うことに要する経費として、三百六十六億円を計上したものであり、柳泉園組合についても、同組合が平成十一年度に予定していた事業の一部を平成十年度に前倒しして実施することに要する費用に対して、平成十年度の国庫補助金を交付したものである。